研究課題
インドTapas Kundu教授らとの共同研究ではPC4による核小体クロマチン制御機構についてさらに研究を進めた。PC4ノックアウトB細胞では核小体周辺ヘテロクロマチンが減少し、Histone H3 K9トリメチル化(H3K9me3)も減少すること、しかし、核内全体のH3K9me3量は大きな変化を示さないことを見いだした。H3K9me3に対する抗体でクロマチンを精製し、その結合タンパク質の網羅的測定を質量分析計を用いて実施した。すると、既知ヘテロクロマチン結合タンパク質の多くがPC4ノックアウト細胞では失われている、あるいは量が低下することがわかった。一方、PC4の核小体集積はrDNA転写に依存すること、DNA損傷により低下することが観察された。PC4は核小体機能やゲノム損傷に応じて核小体ヘテロクロマチンの構造をダイナミックに制御することが示唆される。この局在変化を制御する候補翻訳後修飾とその部位を同定するため、候補部位に変異を導入しその局在変化を調べた。少なくとも2ヶ所のアミノ酸の修飾が関わることが示唆された。この修飾に関わる候補酵素について、ドミナントネガティブ変異体発現や阻害剤添加の実験を実施し、おおよそ特定を終えた。10月にKundu教授を仙台に招聘し、論文作成へ向けた討論と素案作成を実施した。米国Marsha Rosner教授らとの共同研究では、乳癌およびすい臓癌において転移促進や対酸素環境適応に関わることが予想されるBACH1標的遺伝子群を複数同定し、それらの機能解析を進めた。
2: おおむね順調に進展している
乳癌およびすい臓癌において転移促進や対酸素環境適応に関わることが予想されるBACH1標的遺伝子群を複数同定したことで、当初計画を修正してこれら遺伝子の機能解析に比重を移しつつある。
研究分担者に異動に伴い、二名が分担から外れることとなる。代表者チームによる研究は大学院生が新たに参加して進める。年度後半にインドを訪問し、PC4機能解析をさらに進める。また米国からは博士研究員を招聘し、共同研究を進める。
購入を予定していた抗体の納期が納品直前になって遅れてしまったため、その抗体の金額が残ってしまいました。
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すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 備考 (1件)
Antioxidants (Basel)
巻: 11 ページ: 1460
10.3390/antiox11081460
https://www.biochem.med.tohoku.ac.jp