研究課題
タイ国の特定の地域では、寄生虫による胆管細胞癌(CCA)と糖尿病の合併例が多いことが報告されている。国際共同研究として、エピゲノム制御の観点からCCAの代謝特性を解明し、その分子病態に基づいた癌の診断・制御法の開発に迫ることを目的とした。癌細胞における代謝とエピゲノムのリプログラミング、HIF1aやMycによる代謝遺伝子の発現調節が注目されているが、その分子機序には不明な点が多い。本研究ではエピゲノム機構による代謝戦略の切り替えという、新たな観点から癌代謝を捉えた。さらに、好気的解糖の結果生じる代謝物である乳酸が微小環境のアシドーシスを生じるとともに、エピゲノム制御による代謝リプログラミングを促進する観点から腫瘍生物学的な意義の解明を目指した。具体的には、共同研究で樹立したCCA細胞株を用いて、高血糖と酸化ストレス(グルコースとROSのレベルが高い)の条件、あるいは、乳酸アシドーシスの条件において、遺伝子発現とエピゲノムの網羅的解析、エネルギー代謝動態、癌細胞の増殖・浸潤能などの解析を実施した。その結果、胆管癌細胞において、微小環境の乳酸アシドーシスにおいて、thrombospondin 1(THBS1)の発現誘導を介して代謝リプログラミングと遊走性を促進する機序を報告した。
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