研究実績の概要 |
遺伝子の発現は、エンハンサーという塩基配列が制御する。既知のエンハンサーの10倍以上の未知エンハンサーが存在する。申請者は、世界最高感度でエンハンサーを検出する手法を開発した (Nature Genet 2019,申請者が責任著者) 。エストロゲンは、乳癌発症の必須因子であり転写制御により細胞増殖を促進する。申請者は、分担研究者(山田博士)と共同し、エストロゲン依存的に活性化されるエンハンサーを数多く新規に同定した。山田博士は、NYメモリアルスローンケタリング癌研究病院(MSKCC)のScott Keeney教授のもとに在籍した。この経験とネットワークを活用して、申請者らは、MSKCCと国際共同研究を行った。具体的には、 MSKCCのEkta Khurana助教授と共同しヒト乳癌のエストロゲン依存的エンハンサーに存在する変異を解析したり、更には、Keeney教授が持つ精子発生の様々な段階で発生は停止するマウスを用いて、各発生段階で活性化するエンハンサーを解析した。代表的な成果としては、山田博士が、Keeney教授が持つA-Tマウスを使い進めている乳癌モデル作成を完成し、エンハンサーとDNA修復と転写の関連を詳細に解析し、ATM suppresses c-Myc overexpression in the mammary epithelium in response to estrogenというタイトルでKeeney教授と共同で山田博士がラストオーサー/責任著者として2023年にCell report誌に成果発表した。このように国際共同研究により、エストロゲンが乳がんを引き起こす新しいモデルを提唱することに至った。
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