研究課題/領域番号 |
20KK0201
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
渡辺 有為 東北大学, 大学病院, 助教 (20724199)
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研究分担者 |
松田 安史 藤田医科大学, 医学部, 准教授 (00455833)
鈴木 大和 藤田医科大学, 医学部, 助教 (40883880)
中島 大輔 京都大学, 医学研究科, 特定助教 (50812286)
渡邉 龍秋 東北大学, 大学病院, 助教 (70636034)
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研究期間 (年度) |
2020-10-27 – 2024-03-31
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キーワード | 肺移植 / 臓器保存 / EVLP |
研究実績の概要 |
肺移植で用いられるドナー肺体外灌流システム(Ex Vivo Lung Perfusion:EVLP)は,当初は心停止後ドナー肺を体内に見せかけた環境で換気,灌流することにより,移植に使用することができるかを“評価”するために開発された.その後,トロント大学にて,ドナー肺の“評価”だけではなく,長時間安定して灌流させることにより,虚血時間の延長による“保存”,さらには幹細胞,遺伝子,医療用ガス,薬剤などをドナー肺に導入する“治療”のプラットフォームとして発展し,現在,トロント方式のEVLPは世界の主流となっている.しかしながら,現状のトロント方式のEVLPもいくつかの解決困難な問題点を抱えている.本研究課題は,ものづくり日本のアイデアと技術を盛り込んだ日本発のEVLPシステムを開発し,日本では実施することが不可能であるヒト肺を用いた研究を,トロント大学において日加共同で行うことにより,広く世界で普及するシステムを送り出そうというものである.今年度の研究実績の概要は以下の通りである. 1. 新規臓器灌流液EP-TU2の開発:邦の臨床肺移植で使用しているEP-TU液をベースに,日本発の新規臓器灌流液EP-TU2を開発することを目的に,株式会社細胞科学研究所(仙台市)との共同研究を締結した. 2. 小動物EVLPを用いたEP-TU2の検証実験:トロント大学にある装置を用いてラットEVLPを行い,EP-TU2液の検証実験を行う予定であったが,COVID-19感染拡大により海外渡航は完全に閉ざされてしまった.このため本研究項目については進捗させることはできなかった. 3. 可変式ダブルルーメンEVLPカニューラ製造企業の決定:日本発の新規EVLPシステムを開発するために,東北大学産学連携機構の産学連携スキームにより,ニプロ株式会社(大阪市)と交渉を進め,共同研究の締結に至った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
COVID-19感染拡大により海外渡航は完全に閉ざされてしまった.このため今年度海外で行う予定であった研究項目については進捗させることはできなかった.国内移動についても厳しい状況であったが,リモート会議が普及したことで,有用なディスカッションは行うことができた.幸いにして,ニプロ株式会社(大阪市),株式会社細胞科学研究所(仙台市)という研究の進行に相応しい力強いパートナーを得ることができ,初年度中に共同研究契約の締結に至った.
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今後の研究の推進方策 |
COVID-19感染拡大により海外渡航については依然見通しが立たない状況に変わりはない.しかしながら,共同研究のパートナーであるトロント大学のラボメンバーとは定期的にオンラインミーティングを継続している.トロント大学で行う予定であった研究の一部を可能な範囲で国内で行うようにし,研究を進捗させて行きたい. ニプロ株式会社(大阪市),株式会社細胞科学研究所(仙台市)とは研究計画調書の予定通り開発を進めて行く.
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次年度使用額が生じた理由 |
COVID-19感染拡大により海外渡航は完全に閉ざされ,今年度海外で行う予定であった研究項目については進捗させることはできなかった.このため当初物品費,旅費などに考えていた経費は全く使用しておらず,来年度以降に海外渡航が可能となった時点で使用させていただく予定である.
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