研究課題/領域番号 |
20KK0205
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
吉井 俊貴 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 教授 (50583754)
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研究分担者 |
大川 淳 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 非常勤講師 (30251507) [辞退]
平井 高志 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 准教授 (40510350)
松倉 遊 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 講師 (10880867)
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研究期間 (年度) |
2020-10-27 – 2025-03-31
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キーワード | プラスミノーゲン / 靭帯骨化症 |
研究実績の概要 |
これまでの結果からプラスミン活性が石灰化の出現に重要であることから、PAI-1(plasminogen activator inhibitor-1)はその名の通りtPAを阻害してプラスミン活性を低下させるが、PAI-1inhibitor含有の食餌をこれらのマウスに投与しても石灰化は予防できなかった。つまり石灰化に寄与するplasminogen activatorが主にtPAでなくuPAであることが示唆され、これは昨年行った実験でtPAよりもuPAKOマウスにて石灰化が惹起された結果と一致する。プラスミン活性の主な働きはフィブリン溶解であることから石灰化もフィブリンを介した働きと考え、フィブリノーゲンの変異マウスとプラスミノーゲン欠損マウスを交配し石灰化の出現を観察した。するとフィブリノーゲンの変位の有無で石灰化出現は変わらなかった。つまりプラスミン活性が石灰化に関与するのは線溶系を介してではないことが判明した。 プラスミンはフィブリン溶解だけでなく他の凝固因子や蛋白質を失活させることが知られている。したがってプラスミンの石灰化抑制作用は線溶系ではなくこれらの蛋白質失活による可能性を考え、その対象候補を検索している。 プラスミノーゲン部分KOマウスにおいてカルディオトキシンを下腿三頭筋に注射することで惹起された異所性石灰化を収集し解析した。下腿三頭筋を摘出し、超音波ホモジナイザーで十分に破砕した後、石灰化の比重が大きいことを利用して高濃度スクロース溶液を添加して延伸することで石灰化を組織から単離した。XRDなどで分析すると、石灰化はリン酸カルシウム結晶から成り立っていることが判明した。この結晶構造から多くはハイドロキシアパタイトからなると推定された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
プラスミノンの主役割である線溶系の機能が石灰化とは無関係であることが証明できたことから、プラスミンの他の酵素としての働きに注目すべきであることが分かった。
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今後の研究の推進方策 |
プラスミンが作用するフィブリン以外の蛋白質候補から石灰化の機序を解明する。
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次年度使用額が生じた理由 |
プラスミンが石灰化に関わる機序として線溶系を想定指定が、本研究を遂行するとフィブリン以外への作用の重要性が明らかとなった。そのため本年度は候補蛋白質の再度検索を行うためin vitroでの検証が多くなったため次年度に繰り越しとなった。
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