研究課題
本研究計画では、タイにおける健常および重度の早期小児う蝕の小児の口腔微生物叢について解析を行い、微生物叢全体の遺伝子解析に加えて個別の菌体のゲノム配列の決定を試みた。得られたゲノム情報から、微生物叢構造を解明するとともに、薬剤耐性遺伝子の分布の決定を行うとともに、早期小児う蝕と相関を示す微生物叢中の菌種または遺伝子の検出を試みるものである。タイにおいて全身状態が健常な小児集団を選出した。同意が得られた被験者全員から微生物叢検体として、唾液と歯面プラークを収集し、約200検体を得た。得られた各検体について、16S rRNAを解析対象とした細菌叢解析を行った。全体として、Streptococcus属、Prevotella属、Veillonella属、Actinomyces属などの比率が高いことが示された。一方で、興味深いことに、小児検体であるにも関わらず、Porphyromonas属やFusobacterium属も一定の割合で検出された。さらに、細菌叢中の遺伝子を同定するため、微量遺伝子の増幅を行った上でメタゲノムショットガン解析を実施した。得られた配列について、クオリティチェック、宿主配列のフィルタリング、メタゲノムアセンブリ、ビニング、冗長なビンの集約、アノテーションと系統解析を行う一連の解析パイプラインをスーパーコンピューター上に構築した。薬剤耐性遺伝子については、遺伝子マッピングプログラムと耐性遺伝子データベースを利用して検索するパイプラインを確立した。また、得られた検体より、口腔内状況に基づき、カリエスフリーな集団と重度ECCの集団に選出し、メタゲノムワイド関連解析を行い、病態と相関する遺伝因子の探索を行った。
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