研究課題
肺MAC症患者由来Mycobacterium intracellulare臨床菌株8菌株とM. intracellulare ATCC13950の合計9菌株を対象としてトランスポゾンシーケンシング(TnSeq)を行い、type strainの生存必須遺伝子と比較した。前年度、臨床菌株において、糖新生系、type VII secretion system、鉄硫黄クラスターの遺伝子の遺伝子必須性が高まっていることを見出した。今年度、これらの遺伝子に対してCRISPR干渉系を用いて遺伝子発現抑制株を作製し、生物学的検証を行った。その結果、これらの遺伝子発現を抑制した場合、臨床菌株において菌の増殖抑制効果がみられた。臨床菌株の低酸素環境に対する適応性を検討するため、5%酸素条件下における増殖曲線と対数増殖における増殖曲線を比較した。その結果、低酸素条件下において、臨床菌株の多くがtype strainに比べて早い時期に対数増殖に入ることが分かった。さらに、高病原性菌株と中等度病原性菌株において、臨床菌株感染マウス生体内における生体感染必須病原遺伝子を同定した。これらの遺伝子群は、実験室株の低酸素バイオフィルム形成に必須となる遺伝子群と共通していたことから、遺伝子必須性の面で低酸素環境に適応することで病原性を発現している可能性が示唆された。M. intracellulare臨床菌株は、M. intracellulare ATCC13950に比べて、低酸素下での生存に関わる遺伝子の必須性が高まっており、低酸素に対する適応性に関連した治療標的となりうることが示唆された。現在、論文投稿に向け準備中である。
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