研究課題
本研究の目的は、放射線誘発癌の発癌メカニズム、特に放射線によって発癌しやすい遺伝的背景(体質・個人差)を明らかにするために、 チェルノブイリ原発事故後の放射線誘発小児甲状腺癌症例、さらに年齢による影響を考慮するための比較対象として同地域の散発性小児甲状腺癌症例のゲノム試料を収集し、次世代ゲノム解析を行うものである。2020年度の研究開始後も、新型コロナウイルスの感染拡大状況は、日本のみならずベラルーシ、ウクライナでも収まることはなく、渡航しての共同研究を行うことが出来なかった。さらに現地でもテレワークなどで実際の検体の整理遅れが出た。しかし、そのなかにあっても、長崎大学原爆後障害医療研究所の外国人研究員(客員教授)のポストを活用することとし、研究協力者のボグダノワ教授をウクライナより招聘し、2月に着任していただくことができた。2021年度まで長崎大学で共同研究を行う予定である。ベラルーシ、ミンスク市のミンスクがんセンターの病理標本については、現地病理医とオンラインミーティングを実施しつつ、現地での病理標本の再検証を進めている。まずは検証が容易な症例を処理することとし、複数の病理の検証が必要なものは次年度にまた考慮することとした。国内でのゲノム解析は、放射線誘発小児甲状腺癌症例について、病理診断の検証が終了したものから開始した。こちらについては名古屋大学環境医学研究所にて施行した。
3: やや遅れている
2020年度は、世界的規模の新型コロナウイルス感染拡大のため、研究計画の変更に時間を要したため。
2021年度もパンデミックの影響がどこまで続くか不明であり、進められる部分を可能な限り行ってゆく。具体的には、これまでに収集済みの試料の解析等である。また、オンラインでの画像データの共有方法などを検討する。
今年度は、シークエンス解析の開始が遅れてしまったため。次年度はこれらを予定していた次世代ゲノム解析や、同定された変異の検証を行うための試薬購入に充てる予定である。
すべて 2021 2020 その他
すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 1件、 査読あり 4件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (6件) (うち招待講演 5件)
Thyroid
巻: 31 ページ: 1322~1334
10.1089/thy.2020.0308
Endocrine Journal
巻: - ページ: -
10.1507/endocrj.EJ20-0692
The Journal of Clinical Endocrinology & Metabolism
巻: 105 ページ: e4328-e4336
10.1210/clinem/dgaa573
Science Advances
巻: 6 ページ: eabd7197
10.1126/sciadv.abd7197