研究課題/領域番号 |
20KK0219
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研究機関 | 神戸薬科大学 |
研究代表者 |
江本 憲昭 神戸薬科大学, 薬学部, 教授 (30294218)
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研究分担者 |
加藤 太一 名古屋大学, 医学系研究科, 准教授 (20422777)
片岡 雅晴 産業医科大学, 医学部, 教授 (20445208)
谷口 悠 神戸大学, 医学部附属病院, 助教 (80823046)
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研究期間 (年度) |
2020-10-27 – 2024-03-31
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キーワード | 肺高血圧症 / 心房中隔欠損症 / 学校心臓検診 / インドネシア / 成人先天性心疾患 |
研究実績の概要 |
本研究は、日本とインドネシアの国際共同研究として、以下の3つの課題について研究を遂行する予定であった。しかしながら、2021年度は依然として世界的なCovid19感染拡大のために研究の遂行が著しく妨げられた。インドネシアの共同研究者は感染の拡大に伴い臨床業務に忙殺され、研究遂行は著しく遅延した。また、渡航制限により研究代表者らによる現地での研究活動は不可能であった。よって、複数回にわたるオンライン会議システムを利用したディスカッションと日本およびインドネシアそれぞれが国内で遂行した研究が今年度の研究実績となる。 課題1:心房中隔欠損症に合併する肺高血圧症(ASD-PH)に関する臨床疫学データ収集・解析については、インドネシアで症例登録を継続している。進捗状況についてはオンライン会議で確認している。また、心房中隔欠損症のうち肺高血圧症合併の有無を心電図から判定する基準を作成し、現在論文を作成中である。 課題2:インドネシアにおける学校心臓検診システムの確立ならびにその有用性の評価として、インドネシア側スタッフが学校心臓検診を実施する予定であったが、2021年度も感染拡大防止の観点からも学校心臓検診を実施できなかった。これまでに収集した心電図を用いて日本で提唱された心電図判定基準の妥当性の検討について準備を進めている。 課題3:ASD-PHの病態に関与する新規原因遺伝子同定と治療標的の探索として、これまでのインドネシアで収集した患者検体を用いて実施した全エキソンシークエンスの解析を進めた。2021年度は、2020年度に同定した疾患候補遺伝子から真に意味のある病原遺伝子をさらに絞り込むために年齢、性別を適合させたインドネシア人の健常人検体を対照群として収集した。同時に、これらの遺伝子変異と疾患との相関が再現できるかどうかを確認する目的で他のグループのASD-PHの検体を収集した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
Covid19感染が依然として続いており、インドネシアでは研究活動が著しく遅延している状態であった。また、インドネシアの小学校はオンライン対応が続いており、学校心臓検診を実施することが不可能であった。これらの理由から、研究は当初の予定よりやや遅れていると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
Covid19感染は依然として日本およびインドネシアの両国ともに終息していないため、研究代表者らが、海外の研究者グループの研究拠点であるインドネシアのガジャマダ大学およびインドネシア大学に直接出向き、研究活動を実施することは今年度も難しいことが予想される。したがってオンライン会議システムを活用し、それぞれの施設で可能な限りの研究活動を継続する。 課題1:心房中隔欠損症に合併する肺高血圧症(ASD-PH)に関する臨床疫学データ収集・解析については、データベースを作成した上でインドネシア側での症例登録を継続する。症例登録を加速する目的でインドネシア側で他施設のリクルートを積極的に推進する。心房中隔欠損症における肺高血圧症合併の有無を判定するための心電図基準については論文として発表する。 課題2:インドネシアにおける学校心臓検診システムの確立ならびにその有用性の評価として、当面は現在利用可能な心電図と臨床データの解析を継続し、日本で提唱された心電図判定基準の妥当性を検討する。Covid19感染が制御され、インドネシア側スタッフによる学校心臓検診が可能となれば、可及的すみやかに再開する。 課題3:ASD-PHの病態に関与する新規原因遺伝子同定と治療標的の探索については、対照群として2021年度に収集した正常検体の全エキソンシークエンスを行い、同定された遺伝子変異の病原性を解析する。また、2020年度に同定した遺伝子変異と疾患発症との関連性を確認する目的で、新たにASD-PH患者から収集された検体を用いて結果の再現性を確認する。
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次年度使用額が生じた理由 |
2021年度は、2020年度と同様にCovid19感染拡大による渡航制限と研究活動の制限により当初予定されていた研究計画に大幅な遅れが生じたため、次年度使用額が生じた。2022年度もCovid19感染症の先行きは不透明であるが、日本、インドネシアのそれぞれで可能な限りの研究を遂行していく予定である。
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