研究課題/領域番号 |
20KK0221
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
松井 三明 長崎大学, 熱帯医学・グローバルヘルス研究科, 准教授 (00285115)
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研究分担者 |
宮崎 あすか 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(保健学科), 助教 (10854573)
岩本 あづさ 国立研究開発法人国立国際医療研究センター, その他部局等, 連携推進課長 (70543528)
コックス シャーロン 長崎大学, 熱帯医学・グローバルヘルス研究科, 教授 (80750140) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2020-10-27 – 2024-03-31
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キーワード | 薬剤耐性 / 低栄養 / 抗菌薬 |
研究実績の概要 |
本研究では、低中所得国における子どもの低栄養の発生に関して、世界の動向とこれまでの研究成果を踏まえて、以下の学術的問いを設定し、これを検証することを目的として実施している。 1 生後1歳まで投与される抗菌薬によって、カンボジア農村部の子どもの腸内細菌叢が変化し、腸管慢性炎症が増加する。これを、抗菌薬を投与された子どもから便を採取し、便に含まれる炎症マーカーを測定することで確認する。 2 カンボジア農村部においても、すでにAMRを獲得した細菌が存在し、それが子どもの下痢症発生と関連している。これを、便に含まれる薬剤耐性遺伝子を同定し、さらに疾病エピソード発生との関連を検証することで確認する。 3 腸管慢性炎症とAMR獲得細菌の存在が、離乳期以降に子どもの低栄養を悪化させる要因である。これを子どもを定期的に追跡して身体計測を行い、慢性炎症、AMR、その他の要因との関連を疫学的に解析することで確認する。 2021年度においても、新型コロナウイルス感染症の蔓延のためにカンボジア国内での地方部訪問がままならず、計画していたコホートの形成が実施できなかったため研究本体の開始が遅延している。その遅れを取り戻すために、2021年度は研究で焦点を当てる低栄養の低中所得国における調査手法、および腸管慢性炎症と薬剤耐性のバイオマーカー確認手法に関するスコーピングレビューを開始するにとどまった。 併行して、カンボジアでの調査再開ができることを念頭に置いて、現地で雇用する研究スーパーバイズ担当者、およびリサーチアシスタントの雇用について、現地関係者との協議を行い、その方針を決定した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
2021年度においても、新型コロナウイルス感染症の蔓延のために、研究代表者・分担者ともに本邦からカンボジアへの渡航が制限されたこと、またカンボジア国内においても都市部から地方部への移動制限がされたため、研究の進捗に大きな支障を来したため。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度は対象地域(カンボジア国コンポンチャム州ストウントレン郡)におけるコホートの継続的な形成と追跡を現地でリサーチアシスタント雇用を行いつつ実施する。併行して低栄養の要因把握のための定期的フォローアップ調査を実施する。上記を完遂させるために、低栄養の調査手法の確立を行う(宮﨑)。 また研究で焦点を当てる腸管慢性炎症と薬剤耐性のバイオマーカー確認手法に関するスコーピングレビューを完成させる(宮﨑、松井)。このレビューを基に適切なバイオマーカーの確認手法を選択して、それを適切に測定するための実験系を確立する(松井)。 また現地における生体試料採取、運送、保管の方法を、これまでの調査経験を基に明確化する(岩本、宮﨑)。 その上でコホートの確立を行い(松井、宮﨑、岩本)、定期的なフォローアップの実施に移行する(宮﨑、岩本)。 対象地域におけるコホートの低栄養に関連する定期的フォローアップ調査を継続して実施する。またコホートの形成とフォロー アップに際して必要な軌道修正を行う(宮﨑、岩本)。その上で研究期間中に最終的に500名の情報を蓄積する(宮﨑)。 併行して検体の処理とバイオマーカーの測定を行う(松井、宮﨑)。 コホート調査とバイオマーカー分析から得られた要因と、子どもの低栄養との関連性に関する疫学的解析を実施する(宮﨑、岩本、松井)。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症の蔓延のため、研究代表者・分担者ともに本邦からカンボジアへの渡航が制限され、またカンボジア国内でも地方部への訪問を実施することができなかったため、計画していた予算の執行を行うことができなかった。 2022年度は対象地域(カンボジア国コンポンチャム州ストウントレン郡)におけるコホートの継続的な形成と追跡を現地でリサーチアシスタント雇用を行いつつ実施する。併行して低栄養の要因把握のための定期的フォローアップ調査を実施する。
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