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2022 年度 実施状況報告書

適応的歩行の基盤としての脊髄―小脳回路の解明:実験と計算論的モデリングによる研究

研究課題

研究課題/領域番号 20KK0226
研究機関東京大学

研究代表者

柳原 大  東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (90252725)

研究分担者 青井 伸也  京都大学, 工学研究科, 准教授 (60432366)
結城 笙子  東京大学, 大学院総合文化研究科, 助教 (60828309)
藤木 聡一朗  獨協医科大学, 医学部, 講師 (90770173)
研究期間 (年度) 2020-10-27 – 2024-03-31
キーワード歩行 / 小脳 / 脊髄 / パターン生成 / 神経筋骨格モデル
研究実績の概要

歩行を円滑かつ安定に遂行するためには肢内及び肢間における時空間的な協調が重要であり、種々の環境変化に応じて適応を生じるためには脊髄小脳ループが重要な役割を持つと推測される。本研究では、左右分離型ベルトトレッドミル(Split-belt treadmill)を用いてマウス及びラットの歩行運動の神経生理学的実験を行い、肢運動及び小脳プルキンエ細胞活動の動態について詳細に解析する。また、計算論的神経科学的研究として、歩行制御に関わる小脳及び脊髄における神経制御モデルを作成し、筋骨格モデルと統合した神経筋骨格モデルを構築する。さらに、光遺伝学による小脳プルキンエ細胞活動の時空間的な阻害実験と、神経筋骨格モデルにおける機能阻害の動力学シミュレーションを検証し、脊髄小脳ループにおける適応制御に関わるメカニズムを解明することを目的としている。
独自に設計・製作した左右分離型ベルトトレッドミルを用いて、ラットにおいては後肢2足歩行、マウスにおいて4足歩行時に、左右のベルト速度を変化させてそれに対する適応学習課題を課し、その際の運動学的解析から歩行の時空間的なパターンの適応と後効果の動態について明らかにした。脊髄小脳変性症6型モデルマウスにおいては、適応の障害が観察された。また、ラットにおける後肢2足歩行においては、左右のベルト速度比を1.5倍、2.0倍、2.5倍等に変更した際の後肢の運動学シナジーの変容について、特異値分解により関節角運動を空間的協調と時間的協調に分解して解析し、特に、速いベルトと遅いベルト上の肢においては時間的協調が顕著に変化することが示された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

マウス及びラットの各左右分離型ベルトトレッドミルに故障等が生じ、その修繕工事に関わる機器の納品と作業にかなりの時間を要したために、当初計画していた実験を十分に遂行することができなかったため。

今後の研究の推進方策

マウス及びラットの各左右分離型ベルトトレッドミルにおける修繕作業が終了し、安定な稼働が確保されているので、今後は、当初予定していた実験について再開する。特に、歩行における適応・学習には小脳皮質における長期抑圧が関与していることが以前の我々の研究により推測されているが、長期抑圧がこの適応・学習に必要十分であるかどうかについての問いに結論は得られていない。長期抑圧の発現に必要不可欠な、プルキンエ細胞におけるグルタミン酸受容体のエンドサイトーシスを光遺伝学的に阻害することができる遺伝子改変マウスが作製されている(Kakegawa et al., 2018)。そこで、この遺伝子可変マウスを用いて、歩行における適応・学習における長期抑圧の関与について光遺伝学的な小脳領域特異的阻害実験を行う。本研究計画において得られた結果をとりまとめ、成果の発表を行う。

次年度使用額が生じた理由

小脳プルキンエ細胞に対する光遺伝学的活動阻害操作のための実験機器と、活動依存性マンガン造影MRIを用いた神経活動履歴のマッピングに必要な機器の納品が遅れたことによるが、適宜速やかに発注及び受領し、実験を進める。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2022 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (5件)

  • [国際共同研究] Drexel University(米国)

    • 国名
      米国
    • 外国機関名
      Drexel University
  • [雑誌論文] Contribution of afferent feedback to adaptive hindlimb walking in cats: a neuromusculoskeletal modeling study.2022

    • 著者名/発表者名
      Kim, Y., Aoi, S., Fujiki, S., Danner, S. M., Markin, S. N., Ausborn, J., Rybak, I. A., Yanagihara, D., Senda, K., Tsuchiya, K.
    • 雑誌名

      Frontiers in Bioengineering and Biotechnology

      巻: 10 ページ: 825149

    • DOI

      10.3389/fbioe.2022.825149

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [学会発表] 実験と神経筋骨格モデルによる歩行の適応メカニズムの解明2022

    • 著者名/発表者名
      柳原 大
    • 学会等名
      第45回日本神経科学大会 (neuro2022)
  • [学会発表] Photothrombosis法を用いた小脳梗塞モデルマウスにおける歩行障害2022

    • 著者名/発表者名
      井上 桂輔, 淺香 明子, 李 佐知子, 石川 欽也, 柳原 大
    • 学会等名
      第45回日本神経科学大会 (neuro2022)
  • [学会発表] マウスにおける左右分離型ベルトトレッドミルでの歩行適応2022

    • 著者名/発表者名
      小松 拓実, 淺香 明子, 結城 笙子, 石川 欽也, 柳原 大
    • 学会等名
      第45回日本神経科学大会 (neuro2022)
  • [学会発表] 二足立ちラットにおける予測的姿勢制御:小脳虫部の役割と数理シミュレーション2022

    • 著者名/発表者名
      鴻巣 暁, 舩戸 徹郎, 松木 勇磨, 酒井 隆太郎, 柳原 大
    • 学会等名
      第45回日本神経科学大会 (neuro2022)
  • [学会発表] ラットは不確実性が高い状況下において情報希求行動を増加させる2022

    • 著者名/発表者名
      結城笙子, 櫻井芳雄, 柳原 大
    • 学会等名
      第45回日本神経科学大会 (neuro2022)

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公開日: 2023-12-25  

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