研究課題/領域番号 |
20KK0234
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
陳 延偉 立命館大学, 情報理工学部, 教授 (60236841)
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研究分担者 |
岩本 祐太郎 立命館大学, 情報理工学部, 助教 (30779054)
韓 先花 山口大学, 大学院創成科学研究科, 准教授 (60469195)
古川 顕 東京都立大学, 人間健康科学研究科, 教授 (80199421)
金崎 周造 滋賀医科大学, 医学部, 非常勤講師 (90464180)
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研究期間 (年度) |
2020-10-27 – 2026-03-31
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キーワード | 深層学習 / 畳み込みニュートラルネットワーク / アテンション / 弱教師付き学習 / 半教師付き学習 / 計算解剖モデル / 肝臓セグメンテーション / 肝臓腫瘍摘出と鑑別 |
研究実績の概要 |
初年度の2020年度は、国際共同研究相手である、中国浙江大学付属病院の協力を経て、研究に利用できるマルチフェーズCT画像とMR画像の収集と、ベースラインとなる、教師付き肝臓腫瘍の検出・分割および鑑別法の開発を行った。主な成果を以下に示す。(1)深層学習ネットワークを用いたCT画像における肝臓のセグメンテーション法を開発した。世界的に有名なU-Netの改良版としてU-Net3+を新規に提案し、肝臓のセグメンテーション精度を95%まで高めることができた。この成果は信号処理分野のトップ国際学会IEEE ICASSP2020にて発表し、大きな注目を集めた。 (2)Attention Mask-RCNN法を提案し、肝臓の腫瘍検出とセグメンテーションに適用し、その有効性を検証した。その成果は2021年1月に開催された国際学会IEEE ICCE2021および2020年9月に開催された電子情報通信学会医用画像研究会にて発表した。 (3)マルチモダリティ融合グラフ深層学習ネットワークを用いた肝臓腫瘍のセグメンテーション法を提案し、MR画像における肝臓腫瘍を高精度にセグメンテーションをできるようになった。その成果は、2020年10月に開催された、医用画像処理分野のトップ国際学会MICCAI2020にて発表した。現在の拡張版を国際学術誌に投稿している。 (4)肝臓腫瘍の鑑別法として、CasCRNN-GL-Netを提案し、90%以上の精度で肝臓腫瘍を鑑別できるようになった。その成果は、国際学術誌Communications in Information and Systemsに掲載された。 (5)CT画像と臨床データを用いた肝臓癌の再発予測を深層学習モデルを開発した。80%以上の精度で予測が可能であることを示した。その成果は、国際学術誌IEEE Accessに掲載された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
上記の実績に記述したように、当初計画していたベースラインとなる医用ボリューム画像用三次元深層学習ネットワークの開発とその軽量化手法を開発し、医用画像の画質改善、肝臓セグメンテーションおよび肝臓腫瘍検出に適用した結果、その有効性を確認することができた。今後、これらの手法の高精度化を進めていく。
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今後の研究の推進方策 |
2年目の2021年度において、以下の4点に注力していく。 (1)2020年度は約100症例の確定結果付きマルチフェーズ医用画像を収集したが、2021年度においても100症例以上のデータを収集していく。 (2)2020年度の成果をベースに、開発した様々な手法の高精度化を行っていく。 (3)少数な学習データでも高い精度で肝臓腫瘍の検出、分割、鑑別ができるように、弱教師付き学習法や半教師付き学習法を開発していく。 (4)精度を高めるために、計算解剖モデルを構築し、事前情報として深層学習モデルに組み込んでいく。
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次年度使用額が生じた理由 |
2020年度は、コロナ禍のため、予定していた研究出張(出張旅費)や学生による医用画像データベース構築(謝金)などを取りやめたので、2021年度に繰り越して実施する予定である。具体的に、中国浙江大学への共同研究出張、中国浙江大学、インド工科大学の教員と学生を日本に共同研究に招聘する。また、学生には、医用ボリューム画像の収集とデータベース構築を行っていく。
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