研究課題/領域番号 |
20KK0251
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
武居 昌宏 千葉大学, 大学院工学研究院, 教授 (90277385)
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研究分担者 |
オケヨ ケネディオモンディ 京都大学, ウイルス・再生医科学研究所, 講師 (10634652) [辞退]
川嶋 大介 千葉大学, 大学院工学研究院, 特任助教 (10813785)
彦坂 健児 千葉大学, 大学院医学研究院, 准教授 (30456933) [辞退]
坂本 寛和 千葉大学, 大学院医学研究院, 特任助教 (40724349)
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研究期間 (年度) |
2020-10-27 – 2024-03-31
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キーワード | 電気計測 / インピーダンス / スペクトロスコピー / 感染症 / アフリカ |
研究実績の概要 |
R4年度はインピーダンスアナライザ(計測周波数域4Hz~300MHz)を利用したマラリア模擬赤血球およびヒトマラリア感染赤血球を利用した感染赤血球の誘電特性評価を実施した。 まず、昨年度に引き続き、マラリア模擬赤血球として、細胞核(マラリア寄生虫を模擬)の存在する鶏血液および豚血液(核なし、通常赤血球)を混合した血液を電極付きキュベット内でインピーダンスアナライザにより計測し、誘電特性を調査した。計測されたインピーダンスおよび誘電率からは、鶏赤血球の比率が大きくなるにつれてインピーダンスや誘電率の変化が生じることが確認されたが、異なる動物種の赤血球であるため、特性変化の因子が複雑あるため緩和時間分布(DRT)法を利用し、因子の特定を試みた。その結果、周波数40MHz付近で生じた誘電率・導電率変化が赤血球膜内の物質(この場合は細胞核の存在)に起因したことが示唆された。 また、ヒトマラリア感染赤血球を用いて同様の実験を実施した。感染率(全赤血球中に含まれる感染赤血球の割合。ギムザ染色により計測)が既知の血液を電極付きキュベット内で計測し、マラリアが感染した赤血球の誘電特性を調査した。この結果、模擬赤血球を利用した上述の実験と同じ周波数域において導電率の変化が確認された。 本実験では、寄生虫感染率が4%~10%程度と比較的高い感染率での実験であったため、今後はより低い感染率までの検出精度改善に向けたセンサおよびシステム開発に取り組む。また、昨年度に製作した遠心分離一体型EIS検出装置における現状の計測周波数域が1kHz~100kHzであるため、より広帯の周波数領域まで計測を可能にするハードウェアの改良が必要である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ケニア現地における感染血液を用いた実験は、COVID-19の影響もあり、実施することはできなかったが、模擬赤血球およびヒトマラリア感染赤血球を用いて、マラリア赤血球検出原理が確立されつつあり、日本側におけるヒトマラリア感染赤血球を利用した培養系の実験だけでなく、ケニア現地におけるフィールド実験への足がかりとなる、一定の成果を得た。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、本遠心分離一体型EIS検出装置を広帯周波数域(100MHz)に対応できるように、デバイスアップデートを実施する。また、センサ設計の見直しによる検出感度向上、機械学習等の後処理を駆使した検出精度向上を検討していく。また、アフリカ・ケニア現地にてマラリア感染血液を採取し、計測を実施する。現地のフィールド実験についてはCOVID-19の状況に応じて流動的に対応する。
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