本研究プロジェクトは「人間の環境適応学習法の数理解析と検証による統一的理解」と題して関連するヨーロッパの3名の研究者との交流と共同研究を実施した。 最終年度は2023年6月にイタリアのFondazione Santa LuciaのAndrea d'Avella教授を訪問し、多自由度系の歩行運動に関して運動学習について運動シナジーが発現する過程を構成論的に検証する研究について意見交換と共同研究を実施した。現在、論文の審査中であるがひとつの形にすることができた。 またスイス連邦工科大学ローザンヌ校のAuke Ijespeet教授とはリモートミーティングを通じて模倣学習と環境適応両方の機能を備えるAI-CPG手法について議論を行い、実証実験をシミュレーション研究として実現することができた。従来のCPG研究は人工的な振動子ベースで運動生成を行う形が一般的であるが、振動子群が運動模倣により実際の人間の運動に基づいた出力を可能としてまた異なる速度や歩行から走行パターンの出力が可能な柔軟性をもつCPGとすることができ、これを環境適応機能をもたらすために反射ネットワークの学習を強化学習で行うことで学習した以外の環境でも運動速度調整や環境適応が可能であることを実証し、新しい運動生成計算手法を提案することができた。この内容はロボティクス分野のIEEE Robotics and Automation Lettersに採択が決定している。 最後に英国Imperial College LondonのEtienne Burdet教授と再度2024年3月に訪問し、触覚情報を活用した運動学習について議論を行った。こちらについても昨年度の訪問の際に得た情報でステアリング操作の運動学習の実験を2023年度に実施し、研究結果を得ることができ今後研究論文としてまとめることとなった。
|