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2021 年度 実施状況報告書

土壌微生物による鉱物吸着態窒素(MAON)の利用様式の解明

研究課題

研究課題/領域番号 20KK0261
研究機関京都大学

研究代表者

渡邉 哲弘  京都大学, 地球環境学堂, 准教授 (60456902)

研究期間 (年度) 2021 – 2022
キーワード土壌粘土鉱物 / 活性Al・Fe / 同位体トレーサー法
研究実績の概要

本研究は、基課題で取り組んでいる土壌有機炭素の蓄積・分解を制御するメカニズムの解明を、同じく有機物を構成する鉱物吸着態有機窒素(Mineral Associated Organic Nitrogen: MAON)の蓄積形態と微生物によるその利用の理解へと発展させ、土壌中のMAONの微生物による利用様式を明らかにすることを目的として行っている。本年度は、森林土壌3地点各3層位の土壌を用いて、有機窒素の鉱物への吸着が、微生物の窒素利用に与える影響を評価した。13-C標識アミノ酸および鉄鉱物に吸着させた13-C標識アミノ酸を土壌に添加した後に培養を行い、遊離アミノ酸および鉱物吸着アミノ酸の微生物による利用を調べた。アミノ酸の利用は、同位体トレーサー法に基づき、無機化率(添加炭素量に対する二酸化炭素放出量の割合)を求めることで調べた。結果として、遊離アミノ酸と鉱物吸着アミノ酸の無機化率は、いずれも有機物層で最も高く、下層に行くほど小さくなる傾向があった。いずれの無機化率も全有機炭素量および吸着サイトの被覆程度の指標である活性アルミニウム・鉄に対する有機炭素の比と正に相関した。全有機炭素および吸着サイトの被覆程度が低い下層では、アミノ酸の土壌への吸着により、無機化率が低下したと考えられる。以上より、土壌微生物による遊離アミノ酸の利用様式は、土壌鉱物の有機物吸着能により異なることが明らかとなった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

渡航先海外機関において良好な研究環境を構築することができた。カリフォルニア州において計4回の土壌調査を行い、実験に供試する理想的なサンプル群を得ることができた。微生物による鉱物吸着態有機窒素(MAON)の利用様式を培養実験によって調べ、鉱物吸着が微生物のアミノ酸利用に与える影響を明らかにすることができた。有機態窒素を吸着する土壌粘土鉱物の分布について、インドネシア火山帯およびカメルーン火山帯におけるその規定因子の解析を進めた。

今後の研究の推進方策

粘土鉱物および土壌特性値の異なる土壌を用いて、同位体トレーサー法によって遊離アミノ酸および鉱物吸着アミノ酸の微生物による利用の解析を行う。同様に、土壌中の主要な重合体窒素であるタンパク質の微生物による利用についても、同位体トレーサー法を用いて解析を進める。また、酵素活性を測定し、土壌微生物による重合体有機窒素利用特性を解析する。土壌有機物の熱分解分析、土壌粒子表面状態のガス吸着分析を行い、土壌有機物の蓄積状態の解析を進める。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2021

すべて 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件)

  • [学会発表] pH, silicic acid activity, and weathering index link soil forming factors and clay mineral composition2021

    • 著者名/発表者名
      Watanabe, T., Lyu, H., Funakawa, S.
    • 学会等名
      ASA, CSSA, SSSA International Annual Meeting
    • 国際学会
  • [学会発表] OxisolsとUltisolsが分布するベトナム中部高原の森林生態系における窒素・リン制限の評価:葉のN:P比および基質添加に対する微生物応答を用いて2021

    • 著者名/発表者名
      柴田誠, 岡田千裕, 渡辺伸一, Nguyen Lam Ho, 渡邉哲弘, 舟川晋也
    • 学会等名
      日本土壌肥料学会
  • [学会発表] 全窒素濃度とpHが酸性熱帯林土壌の総硝化速度に及ぼす影響:鉱質土層とO 層の比較2021

    • 著者名/発表者名
      渡辺伸一、柴田誠、Hartnono Arief、Lion Marryanna、小杉緑子、荒木茂、渡邉哲弘、舟川晋也
    • 学会等名
      日本土壌肥料学会

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公開日: 2022-12-28  

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