研究課題/領域番号 |
20KK0305
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
黒田 直史 東京大学, 大学院総合文化研究科, 助教 (10391947)
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研究期間 (年度) |
2021 – 2023
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キーワード | マイクロ波分光 / 反水素原子 / ミューオニウム / 微細構造 / ラムシフト |
研究実績の概要 |
スイスの渡航の制限が2022年4月よりほぼなくなったことと,現地での反水素原子ビーム生成実験とそれを用いた分光実験が始まることを受けて,現地に滞在してそれらの実験に参加するとともに共同研究相手とマイクロ波を用いた反水素原子とミューオニウム原子の微細構造分光の計画の検討を進めた.基課題の反水素のラムシフト分光や共同研究者の行ったミューオニウムのラムシフト分光の進捗や成果をもとに微細構造分光実験のために開発する分光装置の仕様を詰めた.また,行動制限や渡航制限によっと当初の予定からずれた微細構造分光実験の実施時期について共同研究者と打合せを進めている. 現地の共同研究者とともに,基課題でのラムシフト分光実験での分光対象である反水素原子ビームの想定される強度やビーム径などを元にして,10GHzのマイクロ波での分光に適した共振器において必要な振動電場強度を得るための構造の検討を進めた.現地の実験から反水素原子ビームの径が2から3cmと大きくなることが予想されたため,高次の電磁波モードが成立する共振器の検討と設計を行った.特に分光実験に用いるマイクロ波の波長がビーム径に近いものとなるため,ビームが通るあたりで十分な強度が得られる電磁場の分布となる工夫を行った. 分光装置設計と平行して,開発する分光器のテスト実験のために水素原子線生成チャンバーを準備した.また,ライマンアルファ光をCsIコート付きのMCPを用いて検出することとし,検出器を設計・製作し組み上げた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
現地への渡航制限のあった間に,現地での状況も大きく変化した.その中で共同研究者と反水素原子とミューオニウム原子の微細構造分光の計画について現地で議論を重ねることができ,およその方針は確定した.これによって具体的な装置の設計および製作にうつる段階となった.
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今後の研究の推進方策 |
設計した装置の製作を急ぎ,水素原子線によるテストを行う.また,スイスにある反水素実験施設で進行している実験またはミューオン実験施設において,本研究での装置を持ち込み最初の分光実験を行う.
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