研究課題/領域番号 |
20KK0308
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研究機関 | 大分大学 |
研究代表者 |
吉川 周二 大分大学, 理工学部, 教授 (80435461)
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研究期間 (年度) |
2021 – 2023
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キーワード | 偏微分方程式 / 固体材料 / 炭素繊維複合材料 / 減衰評価 / 離散関数不等式 |
研究実績の概要 |
本課題の目的は、基課題では将来的に取り組みたいとしていた炭素繊維複合材料の数学解析に取り組むことである。2022年度は、実際に受け入れ先であるドイツに滞在し、以下の研究を行った。 1.炭素繊維複合材料の問題を考えるため、まず単純化した問題として2つの媒質からなる波動方程式について考察した。繊維状の媒質であることを意識し、2つの無限長の帯状領域上で伝播速度の異なる波動方程式を満たし、2つの領域が接する境界ではトランスミッション条件を満たす問題の解の減衰評価について調べた。無限長の帯状領域で波動方程式を考察する研究はウェーブガイドと呼ばれ多くの結果が知られている。また二つの異なる領域上で各々の支配方程式を満たし領域が接する境界で整合条件を満たすように連立した問題はトランスミッション問題と呼ばれ、やはり多くの結果が知られている。本研究はこれらウェーブガイドとトランスミッション問題を合成した問題に相当する。本研究はReinhard Racke氏(コンスタンツ大)と共同で進めた。 2.穴井真人氏(大分大)とReinhard Racke氏(コンスタンツ大)と共同で、二次元の高階離散Gagliardo-Nirenberg不等式について考察した。空間二次元の問題を考察する際には、H^1はL^∞に埋め込むことができないため、H^2への埋め込みを代用する。これに対応した二次元の離散Gagliardo-Nirenberg不等式を導出し、相分離を伴う粘弾性方程式を離散化した方程式に対して解の存在や誤差評価を示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画通りに受け入れ先に滞在し国際共同研究を進めることができた。またコロナ禍で標準的になったオンラインでの研究打ち合わせもあり日本での共同研究にも進展があった。滞在中は様々な情報と知識が得られ、新たな研究の糸口を見つけることができた。以上より「おおむね順調に進展している」と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
令和4年度に蓄えた知見や見つかった新たな研究の糸口などが成果として結実するよう、国内外の研究者との共同研究をさらに進め、積極的に考察を行い、本研究課題の目標達成を目指す。
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