研究課題/領域番号 |
20KK0318
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研究機関 | 一般財団法人電力中央研究所 |
研究代表者 |
清水 直 一般財団法人電力中央研究所, エネルギートランスフォーメーション研究本部, 主任研究員 (60595932)
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研究期間 (年度) |
2021 – 2023
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キーワード | 熱電効果 / ナノ材料 / ナノ結晶 / 電界効果 / 有機合成 |
研究実績の概要 |
優れた熱電変換効率を実現する熱電材料の候補の一つとして半導体ナノ材料の研究が進められている。本研究では、「電界効果トランジスタ構造化においてキャリア密度を電気的に制御する技術」と「半導体ナノ材料の形状およびサイズを制御する技術」を組み合わせ、様々な半導体ナノ材料の熱電特性の研究を行い基課題の研究計画を発展させる。また、本研究は研究代表者がドイツに滞在し、ドイツと日本の国際共同研究として進めるものである。 ドイツ渡航前は、共同研究の開始に向けた準備を行った。具体的には、研究代表者が日本での所属研究機関(電力中央研究所)を不在とする期間の代替要員との業務内容の引き継ぎ、研究滞在ビザの取得、また滞在先のドレスデン工科大と渡航開始後の研究計画及び客員研究員の契約手続き等の事務的な打ち合わせを行った。また、渡航開始当時は日本及びドイツの両方で新型コロナウイルスの扱いや対策が日々変更される状況であったため、両国の政府見解をもとに感染対策を相談した。 当該年度は、主に半導体ナノ結晶の合成と薄膜作製を行った。まず、半導体ナノ結晶の典型材料であるCdSe及び毒性元素であるCdを含まないCuZnInSeを対象とし、プロセスの最適化を行った。半導体ナノ結晶から薄膜を作製する際には、ナノ結晶を取り囲む有機分子をより短い金属イオン等に交換する必要がある。研究の最終段階のデバイス構造を想定し、スピンコート法による薄膜作製を行う前段階で有機分子の交換(リガンド交換)を行うプロセスを採用した。実際にスピンコート法により100nm程度の厚さの薄膜を作製し、電気特性の評価を行った。次年度はトランジスタデバイスの作製と熱電特性の評価を中心に進める。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ドイツ渡航開始時点では新型コロナウイルスの感染状況はまだまだ落ち着いてはいなかったが、渡航前から綿密な打ち合わせを行い、予定通りに渡航を開始することができた。また、実際の研究に関しても、滞在先の研究室のメンバーと議論しながら着実に進めることができており、進展具合は「おおむね順調に進展している」と考えている。
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今後の研究の推進方策 |
本共同研究における滞在は2023年5月末で終了し、計画変更などの予定は無い。そのため、本研究自体は2023年度で終了するが、今回の滞在で得た国際的なネットワークを維持、強化したいと考えている。共同研究者と本研究の開始時には想定していなかったテーマを含め広く共同研究の可能性を議論し、本枠組みを超えたさらなる国際共同研究を展開するための基盤を構築する。
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