最適設計は開発期間の短縮や人知を超えた設計案の提案を可能とする方法論として現代の産業界において重要な位置付けにあると共に、学術界においては設計工学の中核を成す研究分野である。2020~2022年度に実施した科研費(基課題)では、次世代の大規模蓄電システムとして注目を集めるフロー電池を対象として、トポロジー最適化を利用した新たな最適設計のフレームワークの構築を目指して研究を行った。また、本フレームワークはフロー電池に限らず直接解くことが困難な設計問題への展開も可能であり、汎用的なフレームワークとして体系化できる特徴を有する。その鍵となるのは、本フレームワークへの深層生成モデルの導入と確固たる数理基盤の構築にある。そこで、データ科学分野における最適化や機械学習を専門とするテキサス大学オースティン校Oden研究所の海外共同研究者との連携により、基課題の飛躍的発展を目指し、設計工学とデータ科学の両分野を跨いだ国際共同研究を2021年度に実施した。2022年度は本海外共同研究で得られた成果をまとめつつ、更に発展した方法論へと洗練化するための研究を実施した。得られた成果は構造最適化分野における国際会議で発表し、現在は論文化に向けて成果をまとめる段階にある。
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