研究課題/領域番号 |
20KK0340
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
中山 北斗 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 助教 (30610935)
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研究期間 (年度) |
2021 – 2023
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キーワード | Amborella trichopoda / Arabidopsis thaliana / Evo-Devo / RNA-seq / Solanum lycopersicum / インフォマティクス / 進化発生学 / 葉 |
研究実績の概要 |
本共同研究の基課題では、様々なモデル植物を用いた比較トランスクリプトームにより、葉の獲得に関わった遺伝子を同定し、複数のモデル植物を用いて機能解析を行なう。そのなかで大規模なRNA-seqデータやゲノムデータをバイオインフォマティクスを用いて解析する必要があり、さらにその解析結果をもとに機能解析を行なう予定としている。機能解析を計画しているモデル植物の一つにSolanum lycopersicum(トマト)があるが、トマトは日本国内では様々な理由から、安定的な生育と形質転換体作出は難しい。そのため本共同研究において、University of California, DavisのNeelima Sinha教授と共同でバイオインフォマティクスの解析やトマトを用いる機能解析を行なうこととしていた。 2021年度は昨今のコロナの状況を鑑みて、2022年3月末に渡航の予定としていた。そのため、渡航前は実質的な実験は難しかったため、Sinha教授およびインフォマティクスや統計学を得意とする研究室のスタッフとZoomによるミーティングを定期的に行なった。 これにより申請者の解析方法に意見をもらい、最新の情報や解析手法についても渡航前から共有できる体制を整えた。また渡航後は、解析方法について直接Sinha教授などと意見交換を行なった。これらの結果、渡航後にスムースに共同研究を始めることができたと考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
渡航が2022年3月末であったために、2021年度の進捗は事前に共同研究先のSinha教授およびインフォマティクスや統計学を得意とする研究室のスタッフとZoomによるミーティングを定期的に行なったこと、また渡航後に、解析方法について直接Sinha教授などと意見交換を行ない、円滑な研究の実施の基盤を整えたことが挙げられる。 そのため進捗状況は 、(2)おおむね順調に進展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
すでに基研究において各種植物からのRNA-seqデータが得られているため、今後は発生ステージごとに発現プロファイルの類似度を比較する、起源が古く、より、保存されていると考えら れる遺伝子がどのような挙動をしているか、などを詳しく調べる予定である。加えて、茎頂における詳細な遺伝子発現を明らかにするために、それぞれの種を用 いたsingle-cell RNA- seq(scRNA-seq)を計画している。scRNA-seqは個々の細胞の遺伝子発現プロファイルにより、器官や組織ごとの遺伝子発現を明らかにすることができ、これによ り、現在のRNA-seqでは区別不可能であった茎頂と発生最初期の葉原基の遺伝子発現を明らかにすることが可能になると考えられる。しかしながらアンボレラは非常に貴重な植物であるため、十分にサンプルが得られるかがscRNA-seqを行なうための鍵となる。現在はアンボレラを用いた実験が可能 か、各所と調整を行なっている。
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