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2021 年度 実施状況報告書

耐性菌発生リスクの低い抗菌剤の創出に向けたクォラムセンシング阻害剤の合成と応用

研究課題

研究課題/領域番号 20KK0345
研究機関東北大学

研究代表者

榎本 賢  東北大学, 農学研究科, 准教授 (90546342)

研究期間 (年度) 2021 – 2023
キーワードleotiomycene / クォラムセンシング阻害物質
研究実績の概要

薬剤耐性菌への対処は人類にとって喫緊の課題となっている。薬剤耐性菌が発生・拡大する原因の一つとして,特異性の低い抗菌剤によって様々な細菌に選択圧がかかることが挙げられる。クォラムセンシング(QS)阻害物質は,高特異的に細菌の病原因子生産やバイオフィルム形成を阻害するだけでなく,基本的に殺菌作用を示さないので,細菌が薬剤の選択圧にさらされることがない。このような特徴により,QS阻害物質は薬剤耐性菌発生リスクの低い抗菌剤のリード化合物になると期待されている。また近年,QS阻害物質はその高い特異性によって,ドラッグデリバリー物質としても関心を集めている。本課題では天然由来の強力なQS阻害物質であるleotiomycene Aの効率的な合成法を開発する。さらにleotiomycene Aをリード化合物とした高特異的抗菌剤の創出に向けて,構造活性相関研究を展開する。
これまでに,Buchwaldビアリールエーテル合成,プロリノール触媒を用いた分子内不斉Michael反応を利用して,leotiomycene Aの基本骨格の構築に成功している。今後は不斉収率の向上を目指しながら,側鎖部位の官能基変換と芳香環部位の脱保護によりleotiomycene Aの初の全合成達成を目指す。その後は,構造活性相関研究を実施し,ドラッグデリバリー物質への利用に向けて研究を展開する。
また,QS 阻害天然物の合成研究の一環として,糸状菌から単離されたノルセスキテルペンaculene類の合成研究を展開し,aculene D及びBの全合成を達成した。今後は論文発表に向けて準備を進める。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

Buchwaldビアリールエーテル合成については予想以上に検討を要したが,t-BuXPhosを使用する条件でまずまずの収率ながら安定的に目的物を得られる条件を見出すことができた。また,当初の反応基質では鍵反応の一つであるプロリノール触媒を用いた分子内不斉Michael反応において望みでない位置異性体のみが生成する結果となったが,対象構造を有する左側部位を使用することで,良好な収率で目的物を得ることに成功し,この問題を解決することができた。このように,これまでにleotiomycene Aの基本骨格を構築することに成功できているので,おおむね順調に推移していると考えている。

今後の研究の推進方策

今後は不斉触媒のチューニングや反応条件の精査により,不斉収率の向上を検討する。この問題を解決できれば,その後は官能基変換と脱保護により,程なくleotiomycene Aの初の不斉合成を達成できると考えている。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2022 その他

すべて 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件) 備考 (1件)

  • [学会発表] Quorum sensing阻害物質aculene類の全合成研究2022

    • 著者名/発表者名
      横川 陽向, 石澤 誠也, 齋藤 克哉, 桑原 重文, 榎本 賢
    • 学会等名
      日本農芸化学会2022年度大会(京都)
  • [学会発表] Total synthesis of aculene D, a norsesquiterpene showing quorum sensing inhibitory activity2022

    • 著者名/発表者名
      Hinata YOKOKAWA, Seiya ISHIZAWA, Katsuya SAITO, Shigefumi KUWAHARA, Masaru ENOMOTO
    • 学会等名
      2021 International Chemical Congress of Pacific Basin Societies (Pacifichem 2021)
    • 国際学会
  • [備考] 東北大学農学研究科生物有機化学分野

    • URL

      https://www.agri.tohoku.ac.jp/yuuki/seibutsuyuki/index.html

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公開日: 2022-12-28  

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