研究課題
骨髄は成体における主な造血の場であり、骨髄に存在する骨髄間質細胞は、造血幹細胞の維持に必須な細胞として造血幹細胞ニッチを形成するのみならず、それらの細胞自身が軟骨細胞、骨芽細胞、脂肪細胞への分化能を持ついわゆる間葉系幹細胞としての性質を備えている。一方でその起源となる細胞についての詳細は明らかにされていない。基課題の成果により、骨髄間質細胞の起源として考えられている胎生期の軟骨原基やその周囲の軟骨膜の細胞をタモキシフェン誘導性に時期特異的に標識するcreERマウスを用いることで、軟骨原基と軟骨膜由来の細胞が成長時期により異なる様式で骨髄間質細胞へ貢献し、さらに成体骨髄における分布様式も異なることを明らかにした。本国際共同研究では、基課題を発展させるべく以下の研究をおこなった。1)軟骨原基やその周囲の軟骨膜の細胞を標識するタモキシフェン誘導性creERマウスに対して、ヘッジホッグシグナルの関与を示すためにPtch1 floxマウスを掛け合わせ表現型解析を行った。2)軟骨原基由来、軟骨膜由来の成体骨髄間質細胞の分布を明らかにし、それぞれの骨髄間質細胞を採取しRNA-seqによって比較した。その結果軟骨原基由来の細胞は軟骨・骨芽細胞マーカーが上昇し、一方で軟骨膜由来の間質細胞は脂肪細胞マーカーの上昇が認められた。これらの結果から、成体の骨髄の骨格系細胞は生まれる前の発生初期からその細胞系譜が厳密に制御されていることが明らかになった。
2: おおむね順調に進展している
当初の研究計画通り順調に進んでいる。
発生初期の細胞集団を空間的かつ一細胞レベルで解明する。
すべて 2023 その他
すべて 雑誌論文 (6件) (うち国際共著 4件、 査読あり 6件、 オープンアクセス 6件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 2件、 招待講演 2件) 備考 (1件)
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