食事量の減少と極端な痩せを示すがん悪液質は、がん死因の22%に直接関連していることが知られている。グレリン受容体作動薬のアナモレリンが、このがん悪液質に対して本邦で唯一承認されている一方で、グレリン様作用から想定される筋力増強作用が微弱であるとして欧米諸国では承認されていない。このことからアナモレリンはさらに改良の余地があることが示唆される。本研究は、アナモレリンとグレリン受容体の結合様式を可視化することで、グレリン受容体標的薬の開発を支援する構造情報を取得することに成功した。これによって構造情報を基盤とした創薬展開が可能となり、がん悪液質に対するよりよい治療薬の開発が期待される。
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