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2022 年度 実施状況報告書

自然リンパ球を制御する細菌叢と活性化・抑制をコントロールするPD-1の役割解明

研究課題

研究課題/領域番号 20KK0360
研究機関国立研究開発法人理化学研究所

研究代表者

佐藤 尚子 (高山尚子)  国立研究開発法人理化学研究所, 生命医科学研究センター, 専任研究員 (90732446)

研究期間 (年度) 2021 – 2023
キーワード免疫応答 / 自然リンパ球
研究実績の概要

自然リンパ球(Innate lymphoid cells・ILC)は、細胞の分化と機能により1型から3型の大きく3つに分類される(NK細胞などを加えたて現在は5つとする事もある)。ILCが持つユニークな機能と疾患との関わりにより、今なお世界的に競争が熾烈である。本研究課題は、申請者が発見・報告した3型自然リンパ球(ILC3)や近年報告した胃での2型自然リンパ球(ILC2)だけでなく、腸管や脂肪織内におけるILCと疾患との関係性について国際共同研究としてフランス・パスツール研究所のDr. James Di Santoと共に進めている。2020年からの世界的なCOVID19のパンデミックにより、申請者が所属する研究機関において海外渡航禁止令が発令され国外での研究活動が実質不可能であったが、2022年7月に制限付きながら解禁になった。そこで、2022年10月から11月にかけて渡仏しパスツール研究所にて研究活動を行った。
脂肪組織にも腸管と同様に1型自然リンパ球(ILC1)が存在する。しかしながら、腹膜炎とILC1の関係性についてはこれまで明らかになっていなかった。また通常、脂肪組織に存在するILC1はIL-7Raを発現しないことが知られている。申請者らの研究により、急性腹膜炎を呈したマウスモデルの解析では炎症症状の増悪と共にIL-7Raを発現するILC1が増加することが明らかになったが、その役割については未だ不明である。そこで、パスツール研究所では脂肪組織から産生される液性因子をLuminexを用いて網羅的に検出した。その結果、XCL1やCXCL2などの特異的なケモカイン産生が急性腹膜炎と共に脂肪組織から産生されていることを突きとめた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

今年度は、研究代表者が所属する機関での海外渡航制限が緩和された後、すぐにフランスに渡航し実際の研究活動進めた。しかしながら、フランス国内でのテロ活動拡大とコロナ感染拡大に伴う治安の悪化およびそれに伴うシステム変更により、パスツール研究所ではセキュリティが強化され入所制限が厳しくなっており、短期の研究者受け入れは実質不可能になっている。そこで、今年度はパスツール研究所内の共同研究者にマウス実験を依頼し、検出に申請者が同行することで、より効率的に有益な研究成果を得られるように試みた。その結果、理研では行う事ができないLuminexによる液性タンパク質の網羅的検出を行う事ができ、急性腹膜炎を発症した際の脂肪組織での動態について詳細な情報を得る事ができた。現在は、パスツール研究所で得られた網羅的タンパク質解析結果と併せて、この急性腹膜炎モデルマウスにおいてIL-7Raを発現するILC1がPD-L1を介して脂肪組織と相互作用している結果を論文にまとめている。

今後の研究の推進方策

2023年度に入り、世界的なCOVID19のパンデミックもある程度の見通しがたち、日本においても渡航制限が実質解除された。しかしながら、パスツール研究所での短期滞在が実質不可能になったことより渡仏しての研究活動が難しく、今年度は申請書にて記載したNCR1-Creマウスを受け入れ研究室(パスツール研究所)から日本に輸入してRORgt floxと交配を進めるべくMTA締結を行った。現在は輸入の手続きを行っており、2023年5月末にはRORgt floxとの交配が開始できると考えている。前述のようにフランス・パスツール研究所での研究活動には制限があるため、現在はパスツール研究所ニューカレドニアにて引き続き研究開発を続けることを模索している。これまで、フランスパスツール研究所の受け入れ研究員James Di Santoとパスツール研究所ニューカレドニアの所長Marc Joanとはすでにオンラインによるミーティングを行い、実験計画についての打ち合わせを行った。今後は様々な臓器における自然リンパ球の役割解明に向け、国際協力を受けながら全力で研究を進めているところである。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2022

すべて 学会発表 (6件) (うち国際学会 4件、 招待講演 1件)

  • [学会発表] Analysis for induction mechanisms of peritonitis regulated by adipose tissue2022

    • 著者名/発表者名
      Ritsu Nagata, Naoko Satoh-Takayama, Tommy Terooatea, Yuichi Akama, Akiko Minoda, Motomu Shimaoka and Hiroshi Ohno
    • 学会等名
      4th International Conference on innate lymphoid cell (ILC4)
    • 国際学会
  • [学会発表] The protective role of stomach ILC2 induced by the colonization of a strain S24-72022

    • 著者名/発表者名
      Naoko Satoh-Takayama, Yuko Shigeno, Ritsu Nagata, Tomoko Kageyama, Naoko Tachibana, Yoshimi Benno and Hiroshi Ohno
    • 学会等名
      4th International Conference on innate lymphoid cell (ILC4)
    • 国際学会
  • [学会発表] A Japanese traditional medicine, Daikenchuto, alleviates colitis by reshaping microbial profiles and enhancing group 3 innate lymphoid cells.2022

    • 著者名/発表者名
      Naoko Satoh-Takayama, Zhengzheng Shi, Tadashi Takeuchi, Ritsu Nagata and Hiroshi Ohno
    • 学会等名
      日本免疫学会学術集会
  • [学会発表] The stomach immune responses regulated by microbiota - Protective function of ILC2s from infection -2022

    • 著者名/発表者名
      Naoko Satoh-Takayama
    • 学会等名
      A potential interdisciplinary project between mathematics and immunology at University of Strasbourg
    • 国際学会
  • [学会発表] 細菌叢によって制御される胃の免疫応答 -ILC2を介した感染防御-2022

    • 著者名/発表者名
      Naoko Satoh-Takayama
    • 学会等名
      日本細胞生物学会
    • 招待講演
  • [学会発表] Bacterial isolation of family S24-7 and functional analysis.2022

    • 著者名/発表者名
      Naoko Satoh-Takayama1, Yuko Shigeno, Tomoko Kageyama, Tamotsu Kato, Yoshimi benno and Hiroshi Ohno
    • 学会等名
      International human microbiome consortium
    • 国際学会

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公開日: 2023-12-25  

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