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2022 年度 実施状況報告書

フェロトーシスの制御機序と責任脂質酸化種の同定

研究課題

研究課題/領域番号 20KK0363
研究機関東北大学

研究代表者

三島 英換  東北大学, 医学系研究科, 大学院非常勤講師 (00706939)

研究期間 (年度) 2021 – 2023
キーワード細胞死 / フェロトーシス / 脂質ラジカル / 過酸化脂質 / 酸化ストレス / 急性腎障害 / アポトーシス / ビタミンK
研究実績の概要

鉄介在性脂質酸化依存性細胞死であるフェロトーシスの生体内における制御機構および制御法の開発、各種病態への寄与について研究を行った。フェロトーシスの内在性制御代謝物の探索を行い、ビタミンKが強力にフェロトーシスを抑制することを培養細胞を用いたスクリーニング系から見出した。ビタミンKのなかでもビタミンK2の一種であるメナキノン4がもっとも低濃度からフェロトーシスを抑制する効果を認めた。さらに、in vivoにおいてもフェロトーシスモデルである、肝細胞特異的Gpx4ノックアウトマウスまたは腎臓および肝臓の虚血再灌流モデルに対してメナキノン4の投与がフェロトーシスを抑制し、臓器障害を軽減させることを認めた。機序としては、通常の存在様式である酸化型のビタミンKには脂質ラジカルに対する抗酸化能は認めないが、還元型ビタミンKが脂質ラジカルスカベンジャーとして作用することを明らかにした。さらに、これまでCoenzyme Q10の還元酵素として知られていたFSP1がフェロトーシスの抑制作用に必要なビタミンKの還元酵素であることを同定した。さらに、FSP1によるビタミンKの還元は、ビタミンK本来の作用である血液凝固作用に必要な従来型のビタミンKサイクルにおけるこれまで未同定であったワルファリン非依存性のビタミンK還元酵素であることも同定した。本成果は、1)ビタミンKのフェロトーシス抑制作用を明らかにしたとともに2)ワルファリン中毒時にビタミンKが解毒薬となる作用機序を明らかにしたものである(Mishima et al. Nature 2022)。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

培養細胞を用いたスクリーニング系からビタミンKが強力にフェロトーシスを抑制することを見出した。ビタミンKのなかでもビタミンK2の一種であるメナキノン4がもっとも低濃度からフェロトーシスを抑制する効果を認めた。さらに、in vivoにおいてもビタミンKのフェロトーシス抑制効果を明らかにした。またその機序としては、FSP1を介したビタミンKの還元が必要であることも明らかにした。さらに、FSP1によるビタミンKの還元は、ビタミンK本来の作用である血液凝固作用に必要な従来型のビタミンKサイクルにおけるこれまで未同定であったワルファリン非依存性のビタミンK還元酵素であることも同定した。以上から、研究は概ね順調に進展している。

今後の研究の推進方策

ビタミンKのフェロトーシス抑制作用の生理的意義を多種の側面から検討を行う。またビタミンK以外にも他のフェロトーシス抑制能を有する生体内代謝物の探索をさらに行う。ビタミンKがフェロトーシスを抑制するためにはどのような脂質ラジカルに対するスカベンジャー作用が重要であるかの検討を行う。

  • 研究成果

    (14件)

すべて 2023 2022 その他

すべて 雑誌論文 (6件) (うち国際共著 2件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 3件、 招待講演 4件) 備考 (2件) 産業財産権 (1件) (うち外国 1件)

  • [雑誌論文] 脂質酸化細胞死を抑制するビタミンKとその還元酵素の発見2023

    • 著者名/発表者名
      伊藤隼哉 三島英換 仲川清隆
    • 雑誌名

      B&I

      巻: 81 ページ: 100-103

  • [雑誌論文] 腎障害における細胞死update2023

    • 著者名/発表者名
      三島英換
    • 雑誌名

      日腎会誌

      巻: 65 ページ: 17-24

  • [雑誌論文] A non-canonical vitamin K cycle is a potent ferroptosis suppressor2022

    • 著者名/発表者名
      Mishima E, Ito J, Wu Z, Nakamura T, Wahida A, Doll S, Tonnus W, Nepachalovich P, Eggenhofer E, Aldrovandi M, Henkelmann B, Yamada KI, Wanninger J, Zilka O, Sato E, Feederle R, Hass D, Maida A, Linkermann A, Geissler EK, Conrad M
    • 雑誌名

      Nature

      巻: 608 ページ: 778~783

    • DOI

      10.1038/s41586-022-05022-3

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [雑誌論文] What’s New in the Molecular Mechanisms of Diabetic Kidney Disease: Recent Advances2022

    • 著者名/発表者名
      Watanabe Kimio、Sato Emiko、Mishima Eikan、Miyazaki Mariko、Tanaka Tetsuhiro
    • 雑誌名

      International Journal of Molecular Sciences

      巻: 24 ページ: 570~570

    • DOI

      10.3390/ijms24010570

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Nutritional and Metabolic Control of Ferroptosis2022

    • 著者名/発表者名
      Mishima Eikan、Conrad Marcus
    • 雑誌名

      Annual Review of Nutrition

      巻: 42 ページ: 275~309

    • DOI

      10.1146/annurev-nutr-062320-114541

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [雑誌論文] 腎臓病と腸内細菌叢:最近の話題を中心に2022

    • 著者名/発表者名
      三島英換 菊地晃一 阿部高明
    • 雑誌名

      腎臓内科

      巻: 16 ページ: 477-482

  • [学会発表] Non-canonical vitamin K cycle is a potent ferroptosis suppressor2022

    • 著者名/発表者名
      Eikan Mishima
    • 学会等名
      Redox week 2022
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] Non-canonical vitamin K cycle is a potent ferroptosis suppressor2022

    • 著者名/発表者名
      Eikan Mishima
    • 学会等名
      Cold spring harbor meeting Asia
    • 国際学会
  • [学会発表] Role of Vitamin K on ferroptosis and warfarin toxicity: unexpected link2022

    • 著者名/発表者名
      Eikan Mishima
    • 学会等名
      第27回心血管内分泌学会 学術集会
    • 招待講演
  • [学会発表] コロナ下でのドイツ留学とフェロトーシス研究2022

    • 著者名/発表者名
      三島英換
    • 学会等名
      第52回日本腎臓学会西部学術大会
    • 招待講演
  • [学会発表] Ferroptosis regulation and kidney disease2022

    • 著者名/発表者名
      Eikan Mishima
    • 学会等名
      第65回日本腎臓学会学術総会
    • 国際学会 / 招待講演
  • [備考] Conrad Laboratory

    • URL

      https://www.conradlaboratory.com/

  • [備考] 東北大学プレスリリース

    • URL

      https://www.tohoku.ac.jp/japanese/2022/08/press20220804-01-vitamink.html

  • [産業財産権] フェロトーシス抑制剤2022

    • 発明者名
      三島英換
    • 権利者名
      三島英換
    • 産業財産権種類
      特許
    • 産業財産権番号
      WO2022075444A1
    • 外国

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公開日: 2023-12-25  

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