研究課題
2022年度は、胸部X線写真から先天性心疾患手術における予後を予測する人工知能の開発を主な目標として、Boston Children's Hospitalとの国際共同研究を遂行した。2022年7月から12月にかけて米国へ渡航し、同院において研究に必要なデータの取得を進めた上で、人工知能の開発を行った。術後予後予測については、解剖学的な数値指標を予測する人工知能を開発した上で、予測された指標の予後予測能を評価することとし、今年度の成果として、当該数値指標を胸部X線写真から定量的に予測できることを示した。また先天性心疾患領域においてはその疾患の複雑さから、研究の対象疾患群を明確に定義して該当する患者を自動抽出することが困難であり、これが先天性心疾患研究で大規模データを扱う際の課題となっている。この課題を解決するために、同院のデータをもとに先天性心疾患を自動分類するアルゴリズムを開発した。また胸部X線写真を入力とする人工知能モデルの性能向上のため、胸部X線写真の読影に特化した人工知能基盤モデルに開発を行った。胸部X線写真の公開されている複数の大規模データセットを用いて、高解像度モノクロデータに対応した独自モデルの学習を行った。開発したモデルの転移学習(肺炎の診断および肺動脈楔入圧の予測)における性能を、日常画像を学習した既存の 基盤モデルと比較したところ、学習時間、予測性能ともに有意に優れていた。本研究成果については国内学会(日本メディカルAI学会)で発表した。
2: おおむね順調に進展している
研究に必要なデータの取得や、研究基盤の整備を概ね予定通り遂行することができた。
これまでに得られたデータをもとに、開発した人工知能の臨床における有用性を検証する。またこれまでに開発した血行動態予測人工知能モデルに対し、確立した複数の性能向上のための手法を応用することで、人工知能の予測能向上を進める。
すべて 2022
すべて 雑誌論文 (1件) 学会発表 (4件)
循環器内科
巻: 91 ページ: 434-439