研究課題
前年度までの米国デューク大学との共同研究から、TMEM16FのPIP2親和性は、他のPIP2によって制御されることが分かっている既知のイオンチャネルと比較しても比較的高い親和性を持っていることが明らかとなった。これまで我々の研究から精子鞭毛のイオンチャネル制御にはPIP2が重要であることが分かっており、とりわけVSPがつくりだす鞭毛におけるPIP2の濃度勾配は親和性の高いイオンチャネルの制御に適しているということが示唆されている。すなわち精子においてもTMEM16FがPIP2による制御を受けている可能性があると思われる。このことから、TMEM16FおよびPIP2の両者の空間分布をより正確に捉える必要があると考えた。一方でPIP2については従来我々が用いていた方法では(凍結レプリカ法、順天堂大・藤本教授との共同研究)、局所のPIP2を解像度良く捉えられても、鞭毛全体での分布を俯瞰して観察することが困難であるという問題を抱えていた。この点を克服するため、PIP2プローブにGSTタグを標識した蛋白質を作製し、細胞内のPIP2を染色するという方法が取れないかと考えた。neuro2a細胞を対象としてこの方法を試してみたところ、内葉のPIP2を綺麗に標識できた。したがってこの方法を精子の鞭毛に適用することで鞭毛内でのPIP2分布の全体像を把握できることが期待される。この実験が上手くいったら、TMEM16蛋白質との空間的相関関係を明らかにし、またその機能的なアウトプットであるホスファチジルセリンの分布とどのような関係を持つのかを明らかにしていきたい。
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