研究課題/領域番号 |
20KK0380
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
森 聡生 順天堂大学, 医学部, 非常勤助教 (60782878)
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研究期間 (年度) |
2021 – 2023
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キーワード | 神経変性疾患 / パーキンソン病 / シナプス機能 / 脂質代謝破綻 / α-シヌクレイン / エクソサイトーシス / GBA / グルコシルセラミド |
研究実績の概要 |
パーキンソン病における新たな病態の解明と疾患修飾治療の開発のために,本研究は脂質異常に注目した.我々のグループはすでに,ショウジョウバエモデルを使用し,脂質異常によりα-シヌクレインの凝集とドパミン細胞死の誘導を明らかにしている.本研究では特に膜脂質の恒常性破綻がシナプス機能に与える影響をみることを目的としている.脂質はシナプス構成の重要な分子種であるにも関わらず,今まではあまり注目されてこなかった.現在,海外共同研究先であるUniversity of California San Francisco (UCSF)のRobert Edwards研究室でマウス由来海馬一次ニューロンにpH感受性プローブをつかい,エクソサイトーシスをライブイメージングを行うことによりシナプス機能を評価している.特定の脂質改変をすることが知られている薬剤を使用すると,実際にシナプス機能の異常を見出している.これらの結果を踏まえ遺伝子改変動物の作成を行っている.さらには,シナプス小胞のみをマウス脳から抽出することに成功し,質量分析器により脂質解析を行っている.リン脂質以外のスフィンゴ脂質も含めて包括的な脂質解析が出来ており,原因となる脂質を同定することを目標としている.これらの結果を踏まえて,脂質改変することによりシナプス機能を正常化が出来るかを試みる.パーキンソン病の原因タンパク質であるα-シヌクレインは脂質膜との結合能の変化が病態に関わっていることは知られているため,α-シヌクレインの挙動に対する評価も行う.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
マウス由来海馬一次ニューロンを使用し,シナプス機能のライブイメージングを行い,また脂質変化によりシナプス機能の変化を同定で来ているため.またシナプス小胞の抽出を行い,脂質解析を行えているため当初の計画に照らし合わせて,概ね順調に進んでいると考える.研究自体の遂行は何ら問題なく行えているが,しかしながら共同研究先であるUCSFで予算執行するための契約作業に大幅に時間がかかり,予算執行は遅延している.
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今後の研究の推進方策 |
シナプス小胞の脂質解析を行い,シナプス機能異常をきたす脂質の同定および遺伝改変動物におけるシナプス機能の評価を行う.また脂質改変によりα-シヌクレインの凝集の有無を評価する.
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