研究課題
近年、脳神経再生療法の確立に向けて、神経幹細胞などの移植実験が試みられているが、neural replacement効果が低いのが現状である。この効果の向上を目指した基課題の研究では、脳梗塞モデルでの、α2アンチプラスミン(α2AP)の機能抑制による内因性神経新生の促進が期待できる。この研究をさらに発展させるため、本国際共同研究では、神経細胞を用いた再生療法の基盤が未確立の新生児低酸素性虚血性脳症(HIE)について、α2AP機能の抑制による神経再生促進効果の応用可能性を検証する。また、神経毒性を抑制する因子としてニューロセルピン(NSP)に着目し、α2AP機能の抑制とNSP投与のコンビネーションによる、脳梗塞および新生児HIEに対する神経再生療法の高効率化を実証する。具体的には、光化学誘発性脳梗塞マウスモデルおよび総頸動脈結紮・低酸素負荷による新生児HIEマウスモデルの病態形成におけるα2APおよびNSPの役割、各病態に対する抗α2AP中和抗体およびNSP投与の影響を明確にする。当該年度では、軽度の新生児HIEモデル脳におけるミクログリア貪食マーカー(CD68)および酸化ストレスマーカー(ヘキサノイルリジン付加タンパク質)の発現増加がNSPの脳室内単回投与により有意に軽減することを見出し、NSP投与による神経保護効果メカニズムの一端を明らかにした。一方、重篤な脳損傷を呈するHIEマウスではNSP単回投与による神経保護効果がみられなかったことから、NSPのHIE治療への応用には、HIEの重症度評価とそれに応じたNSP投与計画の立案が必要と考えている。
すべて 2024 2021
すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件) 学会発表 (3件)
Neural Regeneration Research
巻: - ページ: -