研究課題/領域番号 |
21000007
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
北森 武彦 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (60214821)
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研究分担者 |
馬渡 和真 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (60415974)
杉井 康彦 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (90345108)
嘉副 裕 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (20600919)
田中 陽 独立行政法人理化学研究所, 神戸研究所 生命システム研究センター, ユニットリーダー (40532271)
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研究期間 (年度) |
2009-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | マイクロ・ナノデバイス / 流体 / 流体工学 / ナノバイオ / ナノ材料 |
研究実績の概要 |
本研究は、単一分子から連続体への遷移領域である拡張ナノ空間(10-1000 nm)の研究ツールを開発し、同領域で初めて出現する事象を物理化学と流体の両面から明らかにして「拡張ナノ空間流体工学」を創成することを目的としている。 平成24年度は、確立した基盤技術を用いて、拡張ナノ空間特有の溶液物性の発現機構に関する研究に取り組んだ。脱水反応によりガラスの拡張ナノ空間表面のシラノール密度を制御し、NMRによる水分子運動解析を行った。その結果、表面シラノール基が密であるほど水分子運動が抑制されてプロトン移動度が上昇することが判った。これにより、プロトン供与性の表面シラノール基と水分子とのプロトン交換によって表面近傍50 nmの水が構造化するというプロトン移動相の作業仮説を初めて実証した。更に、バルクに対する粘度上昇やプロトン移動度上昇などの物性変化が、空間の深さと幅がともに拡張ナノスケールで溶液を閉じ込めた空間でのみ発現し、一方で深さが拡張ナノスケールで幅がμmスケールで十分大きい空間では発現しないことを見出した。これらは、表面-分子間相互作用と物理的な閉じ込め効果によって、数百分子層にも及ぶ拡張ナノスケールの水分子集団が構造化して物性が変化することを意味している。これは、表面近傍の数分子層だけで物性が変化するという大多数のグループの知見を覆す知見であり、単一分子から連続体をつなぐ流体科学に大きく貢献するものである。 一方、拡張ナノ流路にリン脂質二重膜を修飾して細胞空間を模擬する疑似細胞拡張ナノ空間においても、ガラスの空間と同様に粘度上昇やプロトン移動度上昇、酵素反応速度上昇などの物性変化が見出された。これは、生体システムでも拡張ナノスケールの空間ではその大きさと形態により水の物性が通常と異なり、生命現象が発現している液相の物性がバルクと異なることを示唆した極めて重要な知見である。
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現在までの達成度 (段落) |
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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今後の研究の推進方策 |
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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