基盤に固定化し、さらにはビーズおよび蛍光発色団を付与できるDDPの合成に成功した。上下のポルフィリンを異なる置換基で修飾することにより大きなプローブ(ポリスチレンビーズ)を用いてDDP1分子の回転運動を直接可視化するためである。合成の制約上DDPの回転速度は数秒に1度程度の回転速度となった。基盤との相互作用のための部位として活性エステル部位をアミノ修飾ガラスと反応させた後に残りの部位をアセチル基でマスクし、ビーズとの相互作用部位であるビオチン修飾アジド化合物とclick反応にて選択的に共有結合を形成した。光学顕微鏡によりその回転挙動を観測したところ、予測されたとおりの90度ステップが観測された。今後、回転に伴うトルクなどの測定を行っていきたい。また分子ローターDDPの側鎖に末端オレフィンを修飾した化合物を合成したところ、オレフィン間に弱い相互作用が働いていることを、新たに見出した。これはこれまで指摘されてこなかった相互作用であり、今後、超分子集合体を形成する上で有効な相互作用となり得ると思われる。
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