研究課題
前年度より継続していた実験倫理審査に関する諸問題を解決し、1)唾液試料および血液試料を用いて、テストステロンを中心とした生理化学物質と経済的選択行動(リスク選択、レベルK推測)に関する実験調査、2)脳波とリスク下における選択行動に関する実験調査、3)リスク下の選択(確率判明下の選択行動)と不確実性下の選択(確率不明下の選択行動)に関してfMRIを用いた脳機能画像解析研究、などの実験研究を行った。生理化学物資に関連する研究は、前年度の研究において指摘を受けていた女性の生理周期が生理化学物質および選択行動に対して与える影響を考慮するため、100名以上の被験者に黄体期・卵胞期をアンケート調査し、行動選択との関連を調査したが、生理化学物質との間においては特に相関が見受けられなかった。これは、実験期間中に先行発表されたLiening et al.(2010)の結果と完全に一致している。またテストステロン濃度が選択行動に与える影響は、その絶対値水準よりも経時変化による差分の方が回帰分析における適合度が高いため、差分に注目した解析を中心として行っている。脳波測定実験においては先行研究の追試実験として実験課題前のδ波・θ波がリスク選択に与える影響を実験調査したが、現在までのところ特に相関は確認されていない。他方、脳機能画像解析においては扁桃体に対しホルモン物質が作用し、眼窩前頭皮質や脳幹に対して賦活あるいは抑制という作用をもたらすというRyan and Breedlove (2010)の指摘に注目し、扁桃体の不快画像を利用して扁桃体の賦活状況に差を作りだし、抑制作用と選択行動に関する実験調査(被験者数9名)を行い、現在解析中である。これらに加え、歯科インプラント治療(自由診療)における患者の選択行動が、不確実性下における現実の選択課題であることに注目し、インプラント治療における神経経済学的な準備研究を開始した。
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2010年度行動経済学会プロシーディングス
巻: Vol.4(掲載確定)
Review of Economics and Information(大学紀要)
巻: Vol.12 No1・2 ページ: 1-8
Gifu Shotoku Gakuen University, Faculty of Economics and Information, Working Paper No.46
巻: No.46 ページ: 1-7
日本口腔インプラント学会第41回大会抄録
巻: (未定 掲載確定)