研究課題
平成21年度から平成23年度までの研究期間を通じ、1)唾液試料および血液試料を用いて、テストステロンを中心とした生理化学物質と経済的選択行動(リスク選択、時間割引率)に関する実験調査、2)脳波(EEG)とリスク下における選択行動に関する実験調査、3)リスク下の選択(確率判明下の選択行動)と不確実性下の選択(確率不明下の選択行動)に関してfMRIを用いた脳機能画像解析研究、の三点を目標とし実験研究を行った。生理化学物質の分析ではより先進的な神経科学の知見を実験に取り入れるため医療系研究者らと連携しつつ、主にテストステロン濃度が行動に与える影響について調査し、幾つかの有意な相関を日本口腔インプラント学会で報告した。さらに2012年3月にケンブリッジ大学より研究者を招き、生理化学物質とヒトの意思決定に関する意見交換を行い、一般参加が可能な講演会を主催した。EEGと選択行動に関する実験研究では、質問票を利用した場合は有意な結果が得られなかった。しかし画像呈示型の実験では、安静時に計測したδ波・β波の左右半球での非対称性とリスク指標や不確実性回避度について5%水準で有意な相関を得ている。また、不快画像刺激と不確実性回避度などの経済行動指標との関係について、3T-fMRI装置を利用した脳機能画像解析を行い、有意な相関について行動経済学会で報告を行った。先行研究により不快画像刺激の呈示は被験者の扁桃体を賦活させ、また幾つかの生理物質・神経伝達物質が扁桃体を賦活あるいは抑制するという作用をもたらすことが判明している。本研究は不快画像刺激を利用することにより、経済的選択行動と脳機能・生理化学物質における関係性について総合的な実験調査を試みたものであり、選択行動における神経科学的基盤を提供するものである。
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行動経済学会プロシーディングス(2011年度)
巻: Vol.5(発行予定)
行動経済学会プロシーディングス(2010年度)
巻: Vol.4(発行予定)
Review of Economics and Information(大学紀要)
巻: Vol.12No1・2 ページ: 1-8
巻: Vol.12No1・2 ページ: 39-50
日本口腔インプラント学会誌
巻: Vol.24 ページ: 246