研究課題
本申請では、局所の脳内温度が神経活動に依存しダイナミックに変動することを解き明かし、脳内温度が神経興奮を制御する主要因子であることを明らかとすることを目的としている。この目的を達成するために民間企業と共同で世界初の局所脳内温度測定装置を開発することを目指している。さらには、脳内温度変動がもたらす生理学的意義と温度センサー・TRPV4の関わりを明らかとし、TRPV4やこの分子の下流シグナルの遮断により、神経興奮が抑制できることを見いだし、てんかん発作に代表される疾患の新規治療器具、あるいは治療薬の開発を行うことを目標としている。本年度は、この目標を達成するために自由行動下マウスの脳内温度をリアルタイムに測定することを可能とする局所脳内温度測定装置の開発に成功した(特許出願中)。この開発した装置を用いた測定により、睡眠-覚醒期の移行に伴い脳内温度は約1.5℃の変動をすることを突き止めた。現在、この脳内変化に伴い、神経活動がどのように変化するのかを脳波測定を併用することで調べている。さらには、任意に脳内の温度を変化させることが出来る脳内温度可変装置の開発中であり、本年度はその試作機の作製に成功している。次年度にこの装置を開発させ、脳内温度と神経活動の機能連関を生体実験で明らかにしていく予定である。本年度は脳内温度センサー・TRPV4の類縁ファミリー分子であるTRPV2(52℃以上で活性化)が胎児の神経において膜伸展刺激センサーとして使われ、神経回路形成を促していることも明らかとした。
すべて 2010 2009 その他
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (5件) 備考 (1件) 産業財産権 (1件)
Journal of Biological Chemistry (未定, 印刷中)
The Journal of Neuroscience 30
ページ: 4601-4612
Eur.J.Physiol. 458
ページ: 1093-1102
Journal of Biological Chemistry 284
ページ: 21257-64
http://www.nips.ac.jp/cs/sibaHP/shibasaki.html