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2009 年度 実績報告書

動物リファインドサイコロジー定量モデルによる共感性発達に必要な臨界期環境因子解明

研究課題

研究課題/領域番号 21200017
研究機関東京農工大学

研究代表者

小柴 満美子  東京農工大学, 大学院・工学府, 特任助教 (90415571)

研究分担者 油井 邦雄  芦屋大, 臨床教育学部, 教授 (90101352)
山内 秀雄  埼玉医科大, 医学部, 教授 (10250226)
キーワード共感性 / 心の理論 / 脳機能モジュール / 発達障害 / エピジェネティクス
研究概要

子供たち同士の豊かなコミュニケーションが、健やかな精神機能発達を促すことが知られている。一方、母語獲得の例の様に発達中の一定期間のみ能力が増強する学習システム、「臨界期学習」が存在し、脳および生体に用意された分子基盤と環境との相互作用による発達メカニズムが解明されつつある。私たちは、3歳迄に明瞭になると言われる自閉症等、社会性機能不全には、少子化などの理由により高感受性期にミラーニューロンシステムで知られる様な共感性形成に関わるネットワーク機能の形成不全が生じた事に由来する症候があるかもしれない、と仮説を立てている。そこで、今年度は社会性機能発達を行動および生理指標の定量的計測を統合して可視化する解析システムの開発に取組んだ。
まず、同種生物間コミュニケーションによって築かれる共感性機能獲得を定量評価するために、白色レグホン・ヒヨコを用いて方法検討を行った。発達期の視・聴・蝕覚的インタラクションの社会性行動獲得への影響、社会環境に対する感受性期の有無の検討を行い、行動因子に基づく主成分分析空間で、行動パラメーターの相関構造を微細に可視化する方法を開発した。その結果、(1)視聴覚機能が統合され新たな機能が生まれる効果「クロスモダル効果」様の発達が見られること、(2)約1週間齢にセロトニンが関る高感受性期が存在すること、(3)全脳の複数領域(辺縁系等)の関与、などが示唆された。同様の共感性発達評価系を、生後発達期の霊長類マーモセットモデルに適用し、行動発達の多次元構造の特徴、モノアミン系、生体リズム等の発達に関する示唆を得た。
本評価系の有効性、安全性が確認され、健常成人による前臨床試験を経た後に、アスペルガー症候群など自閉症スペクトラム障害患児と健常児の協力を得て、類似の社会性評価系による行動・生理指標計測、及び末梢血内の分子標識探索を開始した。22年度は同課題検討をさらに進める予定である。

  • 研究成果

    (20件)

すべて 2010 2009

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (14件) 産業財産権 (2件)

  • [雑誌論文] 個性的感性の神経工学的評価の試み一脳波、心拍、体表温度計測と感情の相関解析2009

    • 著者名/発表者名
      岩渕奈穂子、小柴満美子, 他3名
    • 雑誌名

      信学技報, IEICE Technical Report 109

      ページ: 7-10

  • [雑誌論文] アスペルガー障害の生物学的病態と治療:アラキドン酸の臨床効果2009

    • 著者名/発表者名
      油井邦雄、Declan Murphy、濱川浩
    • 雑誌名

      脳と精神の医学(日本生物学的精神医学会機関誌) 第20巻

      ページ: 133-142

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 自閉症スペクトラム障害の社会性障害におけるアラキドン酸の役割について2009

    • 著者名/発表者名
      油井邦雄、Declan Murphy、濱川浩
    • 雑誌名

      精神神経学雑誌 第111巻

      ページ: 1387-1396

    • 査読あり
  • [雑誌論文] MDMAの薬理学的特性と抗不安薬としての有効性、致死的毒性および最近の乱用の動向2009

    • 著者名/発表者名
      油井邦雄
    • 雑誌名

      Schizophrenia Frontier Vol.11, No1(In press)

  • [学会発表] 同士間社会性機能の分子基盤解明2010

    • 著者名/発表者名
      白川由佳、小柴満美子, 他5名
    • 学会等名
      日本家禽学会 春季大会
    • 発表場所
      東京(明治大学)
    • 年月日
      2010-03-30
  • [学会発表] ヒヨコ同士間社会性発達の定量的評価モデル、及び分子的背景の検討2009

    • 著者名/発表者名
      三村喬生、小柴満美子, 他6名
    • 学会等名
      第32回日本分子生物学会
    • 発表場所
      横浜(パシフィコ横浜)
    • 年月日
      2009-12-12
  • [学会発表] 自閉症スペクトラム障害とADHDの新規治療薬と奏功機序2009

    • 著者名/発表者名
      油井邦雄
    • 学会等名
      第19回日本臨床精神神薬理学会、第38回日本神経精神薬理学会合同年会、シンポジウム
    • 発表場所
      京都国際会議場(京都府)
    • 年月日
      2009-11-15
  • [学会発表] 2種"ひきこもり"モデルが示唆する非親子・他者間インタラクションの社会性情動知性獲得における重要性2009

    • 著者名/発表者名
      小柴満美子、中村俊
    • 学会等名
      第32回日本神経科学会
    • 発表場所
      名古屋(名古屋国際会議場)
    • 年月日
      2009-09-18
  • [学会発表] 他個体間相互作用が中脳領域の発達に与える影響2009

    • 著者名/発表者名
      白川由佳、三村喬生、中村俊、小柴満美子
    • 学会等名
      第32回日本神経科学会
    • 発表場所
      名古屋(名古屋国際会議場)
    • 年月日
      2009-09-18
  • [学会発表] 社会的相互作用の発達曲線にみる同士間社会性の影響2009

    • 著者名/発表者名
      妹尾綾、小柴満美子, 他10名
    • 学会等名
      第32回日本神経科学会
    • 発表場所
      名古屋(名古屋国際会議場)
    • 年月日
      2009-09-18
  • [学会発表] 発育期の光環境が霊長類の社会性情動発達に与える影響2009

    • 著者名/発表者名
      奥谷晃久、小柴満美子, 他11名
    • 学会等名
      第32回日本神経科学会
    • 発表場所
      名古屋(名古屋国際会議場)
    • 年月日
      2009-09-18
  • [学会発表] 主成分分析を用いた、モデル動物における社会性発達メカニズムと相関する新しい行動解析2009

    • 著者名/発表者名
      杉浦寧、小柴満美子, 他5名
    • 学会等名
      第32回日本神経科学会
    • 発表場所
      名古屋(名古屋国際会議場)
    • 年月日
      2009-09-18
  • [学会発表] 発達期における環境が同士間社会性行動に与える影響の解析2009

    • 著者名/発表者名
      清水航紀、小柴満美子, 他11名
    • 学会等名
      第32回日本神経科学会
    • 発表場所
      名古屋(名古屋国際会議場)
    • 年月日
      2009-09-18
  • [学会発表] 扁桃体領域における同士間社会性環境に依存した神経発達2009

    • 著者名/発表者名
      三村喬生、白川由佳、中村俊、小柴満美子
    • 学会等名
      第32回日本神経科学会
    • 発表場所
      名古屋(名古屋国際会議場)
    • 年月日
      2009-09-18
  • [学会発表] 自閉症スペクトラム障害の社会性障害におけるアラキドン酸の役割について2009

    • 著者名/発表者名
      油井邦雄、Declan Murphy、濱川浩
    • 学会等名
      第105回日本精神神経学会、シンポジウム
    • 発表場所
      神戸国際会議場(兵庫)
    • 年月日
      2009-08-20
  • [学会発表] Pros and cons of stress on the development of social behavior2009

    • 著者名/発表者名
      中村俊, 小柴満美子
    • 学会等名
      9th世界精神生物学術会議
    • 発表場所
      Paris(France)
    • 年月日
      2009-07-02
  • [学会発表] A new quantitative translation system of psychiatric condition based on behavior marker analysis from social development model2009

    • 著者名/発表者名
      小柴満美子、中村俊, 他11名
    • 学会等名
      International Conference of Stress and Behavior
    • 発表場所
      St Petersberg(Russia)
    • 年月日
      2009-05-17
  • [学会発表] Synergistic effect of drug administration and behavior training on social developmental deficit through sensitive period.Stress and Behavior2009

    • 著者名/発表者名
      中村俊, 小柴満美子, 他5名
    • 学会等名
      International Conference of Stress and Behavior
    • 発表場所
      St.Petersberg(Russia)
    • 年月日
      2009-05-16
  • [産業財産権] 社会性情動行動評価システム、社会性情動行動評価方法並びに社会性情動行動評価プログラム及びこれを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体2009

    • 発明者名
      小柴満美子、中村俊
    • 権利者名
      東京農工大学
    • 産業財産権番号
      特願2009-118284号
    • 出願年月日
      2009-05-15
  • [産業財産権] 感性評価装置、感性評価方法、及び感性評価プログラム2009

    • 発明者名
      小柴満美子、中村俊
    • 権利者名
      東京農工大学
    • 産業財産権番号
      特願2009-282884号
    • 出願年月日
      2009-12-14

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公開日: 2011-06-16   更新日: 2016-04-21  

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