研究課題
精神の健康を導く新学術領域として、情動、心理を、行動学的に計測し、その発達を理解する科学的基盤をつくる目的で研究を行った。社会認知・情動の発達に焦点を当て、個体同士が発達のある時期に情報のキャッチボールを経験し培う「共感性」を定量識別し、その神経基盤を理解することを試み、ヒトでは困難な分子・神経基盤へのアプローチを支えるための「共感性発達」動物モデルを開発した。ヒトと同様に昼光性行動し、社会性情報として発声コミュニケーションを行う、霊長類コモン・マーモセット、及び、家禽白色レグホンを対象とした。「共感性」の獲得に必要な環境因子として以下の2点を仮説した。(1)同齢間の社会相互作用、という認知心理学的要素、(2)物理的要素である明暗リズム(都医総研と共同)。これらの環境制御を行い、学習の高感受性期、「臨界期」の有無を探索した。「共感性学習」評価を、社会行動、生理、認知心理因子など指標間の相関構造可視化アルゴリズムBOUQUET(Behavior Output analysis for Quantitative Emotional State Translation,2011)により行ったところ、(1)、(2)共、高感受性期の存在が示唆された。その分子基盤の探索では、家禽(1)モデルにおいて、生後1週間齢頃に一過的な、前頭組織量の増加、線条体側坐核でトリプトファン水酸化酵素などmRNAの高発現、扁桃体のニッスル陽性細胞増加などが示された。そこで、臨界期学習不全モデルの機能回復を目指し、社会療育とともに、発達障害の臨床薬SSRI、あるいは、栄養補助食品摂取を試みたところ、共に部分的な回復効果を示したが、後者はより社会親和的情動傾向が認められた。社会学習の認知心理環境因子として「共通動機を伴う同齢間相互作用」のほか、「自己の物理的境界外報酬学習」にも示唆を得た。霊長類(1)モデルの分子基盤探索では尿中モノアミンが、気象環境依存性と、発達段階指標としての有効性を示した。ヒトの生涯精神発達を導く今後の研究に有用な知見を得、基盤技術を開発した。
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