1) MVの神経細胞間伝播機序の解析 AMCA (on-chip agarose microchamber array)培養系を用いた神経突起を介したMVの伝播様式の解析 ラット脳海馬領域より神経細胞を回収して初代培養細胞を作製した。連携研究者および分担研究者により、リジンコートしたディッシュにアガロースを重層し、顕微鏡下でレーザー照射によりwellおよび神経回路の溝を設計する培養系であるAMCA培養系を作製した。神経突起を介して隣接する細胞へ接触できる最適well間隔などの条件検討を行なった後、このwellに組換えウイルスであるMV-GFPを感染させた神経細胞を生着させ、単個の培養神経細胞間において神経突起を介したMV感染伝播が起こるかをGFPの蛍光を示標に観察した。隣接する細胞ヘウイルスが伝播する際の伝播様式を解析するため、さらに接合部位の電子顕微鏡観察やパッチクランプ解析を行なった。その結果、神経突起を介して隣接する神経細胞体に伝播する様子が観察できた。さらにこの伝播は、ウイルスのbuddingによるのではなく、細胞融合によることも示唆された。 2) NiV構成蛋白の細胞内移動と集結点の解析 NiVの膜蛋白であるG、F、MおよびnucleocapsidであるN、P蛋白のC末に蛍光蛋白を連結した蛍光融合蛋白発現ベクターを作製した。これらをハムスター脳初代培養神経細胞ヘトランスフェクションし、全ての融合蛋白が発現することを確認した。今後、それぞれの蛋白を組み合わせてトランスフェクションし、神経細胞内での挙動を解析していく。
|