前年度に作出し、in vitroでの性状解析を行なったアクセサリー蛋白欠損ウイルスの病原性に変化が生じるか否かについて、ハムスターへの感染実験によって解析を行なった。親株とアクセサリー蛋白欠損ウイルスをそれぞれ、ハムスターに10^3TCID_<50>ずつ腹腔内投与し病態を2週間観察した。その結果、3種のアクセサリー蛋白のうちW蛋白を欠損させたウイルスでは親株と同様の高い病原性を示したのに対し、VおよびC蛋白を欠損させたウイルスの病原性が著しく低下することが明らかとなった。さらに、それぞれのウイルスを感染させた細胞でのIFN応答を調べたところ、アクセサリー蛋白欠損ウイルスを感染させた場合も親株を感染させた場合と同様に、IFN signal応答の抑制が認められた。これらの結果から、ニパウイルスのV、C蛋白がウイルス病原性に大きく関与しているが、その機序はIFN系を介したものではないことが示された。 N、P蛋白に蛍光標識を付加して細胞内での挙動を直接観察し、生きたままの細胞内での共局在を確認することができた。この系を利用して、N蛋白のdeletion mutantを作製してP蛋白との共局在の有無を観察した結果、新規の相互作用領域を同定することができた。さらに、ニパウイルスのミニジェノム系を用いた解析により、同定したN蛋白内の相互作用領域がウイルス遺伝子の複製に関与することも明らかとなった。 またEGFP発現組換えニパウイルスを用いたアフリカミドリザルへの感染実験を行なった。EGFPの蛍光を指標に感染の広がりを可視かすることに成功した。現在詳細な解析を行なっている。
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