研究課題
新学術領域研究(研究課題提案型)
生物は同一種であっても個体ごとに表現型が異なる。この性質は個体集団内に表現型の分離を稀に引き起こし、種分化の原動力となる。これまで個体差の問題は主に集団内の遺伝的多様性を通して説明されており、エピジェネティツクな多様性との関係はほとんど研究されていなかった。そこで、本研究では大規模シーケンサーを用いて同一種に属するが亜種が異なるマウスについてゲノムワイドにDNAメチル化状態を比較した。まず本研究を進めるにあたって、MBDタンパク質を利用して効率的にメチル化DNA領域を回収する方法を開発した。この方法は現在用いられているメチル化DNA濃縮法の中で最も濃縮率が良く、大規模シーケンサーを用いて解析する(MBD-seq)際の必要リード数、シーケンシンクコストを低下させることに成功した。この技術を(株)医学生物学研究所に移転し、現在、同社より市販化されている。肝臓と精子DNAについてMBD-seq法で解析し、二系統間でメチル化レベルが異なる領域をそれぞれ約1500ヵ所、約5000ヵ所同定した。興味深いことに、肝臓においてメチル化レベルが異なっていた領域の約半分は精子でもメチル化レベルが異なっていた。また、いくつかの領域についてF1雑種の解析を行い、メチル化レベルの差は主にシス配列によって制御されていることを明らかにした。
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分子細胞治療8
ページ: 372-376
http://www.bioreg.kyushu-u.ac.jp/labo/epigenome/index.html