研究概要 |
マウス脳から50-140ntのRNA画分を調製し、次世代シーケンサーによる解析を行った。得られた約1億個のRNA配列について、予測した二次構造および塩基配列によるクラスタリングを行っている。これまでに,51%がBoxC/D型のsnoRNA、42%がrRNAの断片、6%がその他の既知のRNAであることが判明している。現在,残りの約72万個のRNA配列について解析を進めている。なお,これまでに4つの未同定RNAを検出している。これらはいずれもイントロン内に位置し、哺乳類での保存性が高い領域であった。今後,さらに解析を進めるとともに、見出した未同定RNAについて、ノーザン解析による発現動態の解析およびNMR法による立体構造の解析を進め、その機能に迫りたいと考えている。 前年度行ったマイクロアレイ解析で高発現を示したSAT(sense-antisense transcript)関連の新規低分子RNA(50-140nt)候補9種類について、さらに精査し、複合体解析に進めるものを4種類に絞った。個々のRNAを含む複合体(RNP)を単離するため、マウスの脳を用いた解析を行っている。候補RNAのうち1種類S3はこれまでのところ、NIH3T3細胞での発現しか確認されなかったので、複合体の解析についてもNIH3T3を用いた系で試している。これと平行して候補RNAの末端配列を決定するための実験を行い、S3の5'末端配列についての予備データを得た。 また、培養細胞系を用い、二本鎖RNAをプロセスするDicer、Drosha、Adarsをノックダウンし、機能的にこれら酵素が阻害されていることを確認したので、今後、我々の同定した一連の低分子RNAの発現動態への影響を確認する予定である。
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