研究概要 |
平和と人権のためのビジネスとは何か。なぜ、地雷除去機の提供が好意的に捉えられる一方で、兵器を提供するビジネスは非難されるのか。同じように紛争に関わるビジネスであっても、なぜその評価は分かれるのか。本研究は、紛争(後)社会で(1)どのようなビジネスの業態が存在し(2)紛争や平和にどのような影響を与え、(3)誰の目からどのように評価されているのか、の3点を国連の平和活動との関係に絞り、紛争、人の移動とガバナンスの相互作用を軸に検討し、人権のための平和構築研究に新境地を開き、その体系化をめざす。 昨年度に引き続き、今年度もセミナー(5/25, 6/16, 6/30, 7/13, 10/27, 1/31, 2/22)およびシンポジウム(4/22, 6/22, 9/25, 1/19)の開催を通じて関係者との専門的意見交換や、関連する関心を有する参加者との研究交流を活発に続けてきた。テーマ的には、平和構築プロセスにおける水資源管理や鉱物資源管理に関する紛争予防の観点から見たビジネスモデルや、世界銀行の投資行動の中に人権配慮が如何になされているか、また、国連報道に関連するビジネス(社会起業)の可能性などについても、幅広い議論がなされた。国連の活動のみならず、関連する国際社会の動きについて、とりわけ人の移動というテーマについて、代表者の主催する寄附講座「難民移民」との関連での連携研究も活発化し、同講座が新たに発刊することとなった研究雑誌(季刊誌)への研究成果公表などを通じて、研究の蓄積および公表を活発に行った。 最終年度における研究成果のとりまとめに向けて、上記のとおり連続セミナーおよびシンポジウムを引き続き活発に行うとともに、各種学術雑誌への研究成果の公表を進める。本研究企画には研究分担者はいないが、連携者および協力者との協力を維持・拡大しつつ、研究テーマにあるとおりの包括的な内容を体系的に構築することに取り組む。
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