研究課題
1.フラスコ内の温度の空間不均一を計測するために感温液晶マイクロカプセルを用いることには、技術的な困難があることがわかったので、局所計測で得られた温度時系列の、確率密度関数を、不均一の目安として用いることとした。その結果、噴出量と噴出様式のバリエーションが大きいほど、温度時系列の確率密度関数の分散が大きいことがわかった。この実験結果を踏まえて、噴出量及び噴出様式と温度の空間不均一を関係付けるモデルを開発した。モンテカルロ法によるシミュレーションの結果、減圧沸騰に供される過熱度の空間分布が、噴出様式や噴出量を決める重要なファクターであることがわかった。2.地震、および、空振として観測される火山の調和型振動の特徴を再現するモデル実験を行った。そしてその特徴を、新燃岳2011年噴火や海外の火山(エクアドルのFuego 火山・コスタリカのArenal 火山・アラスカのReventador 火山)で共通に観測されている現象と比較した。その結果、注目している振動現象が、やや粘性の低いマグマの中をガスが抜けるときに発生する可能性を指摘した。3.2011年新燃岳が噴火したので、急遽その噴出物を解析し、本研究の趣旨である噴火様式遷移の要因とマグマの不均一性の関係について、物質科学的に検討した。その結果、準プリニー式からブルカノ式への噴火様式の遷移は、マグマの混合の割合と関係があることがわかった。このことは、主として雇用したPDによってなされた。また、気泡と結晶の関係を3次元的に観察するために、X線CTスキャンで軽石と火山弾を観察した。その結果、火山弾の方が大きな気泡によって囲まれている確率が大きくなることがわかった。
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J. Geophys. Res.
巻: 117
DOI:10.1029/2011JB008204
Geophys.Res.Lett.
巻: (印刷中)
10.1029/2011GL050542