研究課題/領域番号 |
21200053
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
岸本 直子 京都大学, 工学研究科, 研究員 (60450714)
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研究分担者 |
吉野 隆 東洋大学, 理工学部, 准教授 (60269496)
木元 克典 海洋研究開発機構, 地球環境変動領域, 技術研究主任 (40359162)
栗原 敏之 新潟大学, 自然科学系, 助教 (10447617)
石田 直人 新潟大学, 理学部, 技術補佐員 (20534746)
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キーワード | マルチスケールデザイン / 宇宙構造物 / 有殻原生生物 / シミュレーション工学 / 進化 / 最適設計 |
研究概要 |
本研究は、理学および工学の目的と手法を融合させ、スケールや環境の違いにロバストあるいは適応的な設計原理を探索するものである。本年度は、既存の3次元骨格データを使って3次元模型を製作し、理学および工学の研究者双方が、有殻原生生物骨格の3次元形状に関する共通認識をもつとともに、実際の形状に基づいた数理モデル化、構造解析による力学特性の解明、進化や空間分布等の解釈に至る一連の研究手法の確立を目指した。 具体的には、例年開催している放散虫採集ツアーの機会などを利用して得た生態情報を参考にしながら、3次元モデルを見ながら議論し、形態の数理モデル化や構造解析を試みた。現生種の有孔虫については球殻の拡張モデルのパラメータ同定を実施し、進化や空間分布との関連性について考察した。放散虫については球面上にランダムに配置した点群を基にしたフレームモデルとしてモデル化するほか、Eulerの公式を参照しながら軸足や仮足の出る孔の配置の数理的な解釈をおこなった。 さらに、一連の研究手法を確立するモデルケースとして、中生代の大型放散虫であるMirifusus属を取り上げた。これはMirifusus属が大型で骨格形状が明瞭であること、進化過程での骨格形状の変遷が明確で異論がないこと、などの理由による。本年度は、まず2次元フレームで骨格形状をモデル化して進化過程と力学的な合理性との対応関係を導き、さらに3次元フレームでモデル化することで形状の変遷と力学的な合理性との対応関係を再検討した。 また、本年度購入の3次元造形機にて製作した有孔虫の石膏模型を、国立科学博物館主催企画展「深海探査と微化石展」と、三菱重工業・三菱みなとみらい科学技術館海洋ゾーンの常設展示用に提供した。企画展では、本研究を解説するパネルも展示し、研究内容を広く公開した。
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