研究分担者 |
吉野 隆 東洋大学, 理工学部, 准教授 (60269496)
木元 克典 海洋研究開発機構, 地球環境変動領域, 技術研究主任 (40359162)
栗原 敏之 新潟大学, 自然科学系, 准教授 (10447617)
石田 直人 新潟大学, 産業地域連携機構, 博士インターンシップ研究員 (20534746)
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研究概要 |
マイクロCTの性能向上にともない,これまで3次元形状の取得が困難であった放散虫骨格について化石から現生まで全長100ミクロン程度以上の個体であれば,3次元形状を取得することが可能となった.以下に得られた主な成果を列挙する.いずれも得られた3次元データを元に石膏製拡大模型を製作し,研究チームで穴の数や形などの幾何学特性について確認作業をおこなっている. 1)以前から骨格の幾何学的特性について検討をすすめていたPantanellium属の撮影をすすめ,外殻の多面体モデルによる幾何学的特性の検討するとともに,外殻と内殻の対応関係を明らかにして論文とした. 2)より古い時代(三畳紀)のGlomeropyle属の撮影により,電子顕微鏡撮影では確認しにくい内部構造を可視化することに成功した. 3)Didymocyrtis tetrabalamus(Haeckel)については得られた3次元形状からボクセル有限要素モデルを製作し,水圧を模擬した荷重条件下で応力集中が生じにくい形態であることを確認した. 東北大学で公開されている3次元データを利用していた有孔虫骨格についても,所有のマイクロCTで3次元データを再計測した.以下,得られた成果を列挙する. 4)チェンバー形状が球に近いGlobigerinoides ruberについて,取得した3次元形状からチェンバーの形状と結合状態を定量的に示すことができる近似連結球モデルを導出し,これまで提案してきた数理モデルの妥当性について比較検討した. 5)取得した3次元情報から水中での沈降速度を推定し,実際に沈降管を使った沈降実験を実施して推定値の検証をおこなった. いずれの成果も,実際の有殻原生生物骨格の3次元情報が得られて初めて分析・理解できる特性であり,これらの骨格の幾何学特性や力学特性を定量的に評価したその意義は大きいと考えている.
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