本研究では、超短パルス光およびMO効果を利用した先進的な出入力インターフェイスの開発を行い、その動作を実証することが目的である。光入力では、極短パルスレーザー光をジョセフソン接合に照射し発生した光生成磁束の動きを制御する。また、光出力部では、超伝導素子の上にガーネット薄膜を積層し、MO効果により照射したパルスレーザーの偏光面を回転させる。これにより、磁気信号を光信号として高速に取り出すことを試みる。本年度はダブルパルス光応答計測システムで高温超伝導ナノブリッジおよびジョセフソン接合の計測を行った 本年度我々は線幅5μmのジョセフソン接合素子と、線幅500nmと、線幅300nmの2並列のブリッジをもつナノブリッジを作製し、波長800nmと1560nmのフェムト秒レーザーパルス照射下におけるそれらの電流-電圧特性と出力電圧のレーザー強度依存性を測定した。いずれのI-V特性においてレーザー強度を大きくすることで臨界電流値は減少し、出力電圧のレーザー強度依存性は非線形性を示した。さらに、我々は自己相関を利用することで、それらの光応答を観測した。ジョセフソン接合素子では波長800nmのレーザーを使用したときのみ数ピコ秒以下の高速な光応答が観測さ。しかしながら、波長1.5μmのレーザーでは高速な応答は観測されなかった。一方、ナノブリッジではレーザー波長に関係なく高速な光応答は観測されなかった。今後、このようなフェムト秒パルス照射に対する電圧状態への遷移に関する実験結果を統一的に解釈するモデルの構築を行う。
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