研究概要 |
申請書計画に記載したstepl,step2までを2009年度でほぼ完成した。 具体的には、(1):ランダムペプチド・ライブラリーからの"高性能細胞透過能を発揮するCPP(cell-penetrating peptide)"の分離を行った。従来汎用されているTATに比較して、数倍~数十倍の優秀な効率で細胞浸透能を発揮するCPPペプチドであることが確認された。(2):(1)で得られたCPP計45種類について、多種類のヒト腫瘍細胞培養パネル(がん細胞株、肉腫細胞株、血球系腫瘍細胞株、※コントロールとして正常細胞(非腫瘍細胞)を加えた計20種類程度含むもの)を用意し、各々について細胞透過アッセイを再度実施して、最終的に、発生母地の異なる各種のヒト悪性腫瘍細胞に対して種類別固有の選択的透過能を発揮するCPPペプチドをpick upすることができた。これらは、コントロールとして正常細胞(非腫瘍細胞)例として用いたヒト健常者末梢血リンパ球やヒト正常皮膚線維芽細胞、腎線維芽細胞では腫瘍細胞に対して認められたよりも低い透過性を示し、悪性腫瘍により効率的な透過能を発揮することを併せて確認した。(蛍光標識ペプチドの顕微鏡による視覚的評価とフローサイトメトリーによる単一細胞蛍光強度の測定評価を並行して実施し解析した。)なお、悪性腫瘍の中から、大腸癌・急性骨髄球性白血病についてはインフォームドコンセントを得て臨床当該科の協力により患者プライマリー腫瘍細胞の提供を受け、細胞株のみならず初代細胞においても各特異的CPPペプチドが細胞株解析で示した結果にほぼ一致する選択的かつ高効率透過能を発揮することを確認した。
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