研究概要 |
本年度は全知覚統合制御方式の段階的比較プラットフォームの基盤要素として開発した,非線形バネ腱駆動モジュール,柔軟肉質,高出力小型基板,広視野高視力モジュールを元に,腱/軸駆動方式の受動性比較検証プラットフォームと,注意誘導ソフトウェアの構築を行った. (1)腱/軸駆動比較検証脚関節:関節駆動方式と機械受動機構を容易に交換可能な足首関節を構築し比較検証を行い,歩行時安定制御性及び着地時対衝撃柔軟性を両立可能な足首として,拮抗非線形バネ要素を組み込んだ腱駆動関節が有効であることを示した. (2)柔軟上半身ロボットプラットフォーム:超小型非線形バネ搭載腱駆動モジュールを全身に搭載し,全関節の機械的剛性が調整可能な上半身ロボットを構築し,衝撃応答性及びアクチュエータ負荷を計測することで,従来のソフトウェア関節剛性制御との比較を行い,機械的柔軟関節の有効性を検証した. (3)腱駆動柔軟外装統合による触覚推定:腱駆動関節を柔軟外装で覆い外界接触負荷を柔軟外装を介し腱ワイヤに伝達することで,腱張力から外界接触負荷推定が可能であることを示した.従来外界接触認識に必要だった触覚センサ及び配線が不要となり,全身受動性をロボットに付加する上で不可欠な触覚を容易に実現することが可能となった. (4)全身感覚蓄積可視化システム:ロボットに常時蓄積されるセンサ情報を直感的に取得可能なインタフェースを備えたデータベースを構築することで,多様なロボット構成での行動データの比較検証解析が容易な比較検証用基盤ソフトウェアを実現した. (5)広視野高視力頭部統合上半身ロボットによる対人注意誘導:広視野カメラによる顔,手先の位置認識や高視力による人の視線や詳細物体認識を時空間に渡る対象追跡として拡張することでタスク文脈に応じた対人注意知覚基盤ソフトウェアの構築を行い,実際に人の道具操作行動観測において検証を行った.
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