研究課題/領域番号 |
21220007
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
中田 力 新潟大学, 脳研究所, 教授 (50281720)
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研究分担者 |
五十嵐 博中 新潟大学, 脳研究所, 教授 (20231128)
藤井 幸彦 新潟大学, 脳研究所, 教授 (40283014)
鈴木 清隆 新潟大学, 脳研究所, 准教授 (40303169)
HUBER Vincent 新潟大学, 脳研究所, 准教授 (40422620)
辻田 実加 新潟大学, 脳研究所, 准教授 (60397180)
西澤 正豊 新潟大学, 脳研究所, 教授 (80198457)
柿田 明美 新潟大学, 脳研究所, 教授 (80281012)
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研究期間 (年度) |
2009-05-11 – 2014-03-31
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キーワード | MRI / 7テスラ / MR microscopy / 解剖学的解像度 / 超高磁場 / MR spectroscopy / hyperpolarization / 機能画像 |
研究概要 |
本研究は、疾患特異的な対象分子に特異的に結び付くリガンドを用いたリガンド型分子イメージングの開発により、対照とする微細組織に特異的な画像法を確立することを目的としている。プロジェクトは、リガンドの開発、MR測定技術の開発、信号補強アルゴリズムの開発、マイクロイメージング技術の開発の各々のサブプロジェクトからなる。本年度は開発、JJ Vicinal Coupling Proton Exchange(JJVCPE)法の実践として、17-O化合物の動物への投与を行った。具体的なターゲットは(1)アルツハイマー病のアミロイドを対象とした17O-PIB-JJVCPEと、(2)脳内での水分子の動態をとらえる17O-H2O-JJVCPEとに絞って行われている。前者については、世界に先駆けJJVPCE法を用いたアルツハイマー病モデルマウスの脳内アミロイドの可視化に成功した。後者については、近年、脳の高次機能、特に、意識の維持、記憶の保持に大きく関わっていることが明らかにされている脳における水分子の動態をコントロールする主役のひとつ、脳に豊富に存在する水チャンネル、アクアポリン4(AQP-4)をターゲットに研究を進めた。本研究では、その遺伝子を欠失させたアクアポリン4ノックアウトマウスを用いた17O-H2O-JJVCPEにより、脳における水動態が、astrocyteからVirchow-Robin間隙にAQP-4を通して流れ込む水分子に大きく依存することを初めて突き止めた。 また、信号補強アルゴリズムのもう一つの柱であるhyperpolarizationでは、本研究にて実用化した生体観測システムをイメージングに応用するための測定法の開発を継続し、生体ラット脳より8秒間の時間分解能にて、解糖系およびTCA回路の状態を同時に評価することに成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本研究者が開発した17O-H2O-JJVCPEによる生体における検索が施行可能となり、脳における水動態は、astrocyteからVirchow-Robin間隙にAQP-4を通して流れ込む水分子に依存することが世界で初めて明らかにされるという当初の目的以上の成果をあげた。また、他のサブプロジェクトも順調に推移している。
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今後の研究の推進方策 |
研究は順調に推移しており、現時点においては研究進捗を阻害する問題点は認められない。脳における水動態の研究を次の段階に進めるためには、脳脈絡叢に存在するAQP-1の関与を詳細に検索しておく必要がある。そのためには、AQP-1遺伝子を欠損させたマウスで、AQP-4欠損マウスと同様に、17O-H2O-JJVCPEの実践を進める。
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