研究課題/領域番号 |
21220010
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
山村 研一 熊本大学, 生命資源研究・支援センター, 教授 (90115197)
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研究分担者 |
吉信 公美子 熊本大学, 生命資源研究・支援センター, 助教 (20274730)
山縣 和也 熊本大学, その他の研究科, 教授 (70324770)
若菜 茂晴 独立行政法人理化学研究所, その他部局等, 研究員 (90192434)
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研究期間 (年度) |
2009-05-11 – 2014-03-31
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キーワード | 野生マウス / 膵炎 / 糖尿病 / 可変型相同組換え / ヒト化マウス / 行動 |
研究概要 |
C57BL/6をコントロールとしてMSMに関する詳細な行動解析を行ない、情動性、新奇場面での移動活動性、居住場面での活動性と活動パターンといった項目について両系統間で統計的に有意な差があることを見いだした。また、上記の有意差のある項目についてキメラマウスを用いて行動解析を行った。同じキメラマウスの脳の凍結組織切片をlac Z染色することにより観察したMSM由来の細胞の分布と行動解析のデータを比較検討し、活動性、情動性等においてMSMに特徴的な表現型を示す領域の同定を目指した。その結果、嗅球、視床、扁桃体、中脳、橋、延髄がMSMの行動特性に関与する可能性が示唆された。 セルレイン膵炎誘発時にPrss2およびVegfaがMSMで高発現していることが明らかとなった。また、プロテオーム解析法を検証したところ、小さい分子のタンパクは抽出できていないことが分かった。そこで方法論の改良を試み、尿素とMethyl-β-cyclodextrinを用いることで、この問題を解決することができた。 B6 ESを用いてGck(1a)(膵臓タイプ), Gck1(1b)(肝臓タイプ), Hnf1a, Hnf1b, Hnf4a(1a)(膵臓タイプ), Hnf4a(1b)(肝臓タイプ),Neurod1, Pdx1のKOマウスを作製した。このうちHnf1aについてはヘテロおよびホモマウスを作製し、ホモマウスは出生後に早期に死亡すること、発現遺伝子解析により膵島量の制御に関与することが想定されるHgfacの発現が約50%に低下していることを明らかにした。Gckホモマウスについてはインスリン分泌・耐糖能が悪化していた。Pdx1、NeuroD、Hnf1a、Hnf1bおよびGckについて、ヒト正常およびヒト糖尿病患者で同定された変異遺伝子で置換したES細胞を樹立した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
MSMに特徴的な表現型を示す領域の同定を目指し、その結果、MSMの行動特性に関与する可能性が示唆される領域が同定できた。 セルレイン膵炎の感受性に関与する新たな遺伝子としてPrss2およびVegfaを同定できた。 MODY遺伝子6種類についてすべてのノックアウトマウスを作製できた。また、ヒト正常および変異遺伝子で置換したマウスES細胞を樹立することに成功した。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、MSMとC57BL/6に関して、関連脳領域をレーザーマイクロダイセクション法等で採取し、mRNAを抽出してマイクロアレイによる発現解析を行い、両系統間で発現に差のある遺伝子を同定する。 Hnf1b、Hnf4a、Pdx1およびNeuroD1のノックアウトマウスについても、インスリン分泌や糖尿病発症の有無について検討する。また、マウスMODY遺伝子座にヒト正常・変異遺伝子で置換したマウスを作製し、耐糖能異常・糖尿病発症の有無について検討を行う。MSM ESを用いて作製したMODY遺伝子ノックアウトマウスの作製と解析を行う。
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