血管内皮細胞が血流に起因するshear stressを感知し、情報伝達する分子機構を解析した。内皮細胞にshear stressが作用すると即座に細胞膜カベオラの脂質の相状態が秩序液体相から無秩序液体相に変化し、膜流動性が上昇することを見出した。独自に開発した新規イメージング法によりshear stressによる膜の物理的性質の変化はATPの放出に繋がり、それがP2X4チャネルを活性化し、Ca2+の細胞内への流入と、それに続く細胞全体に伝搬するCa2+波を惹起することが示された。細胞膜自体がshear stressのセンサーとして働き、Ca2+を介した情報伝達が行われることが明らかになった。
|